第一部☆火星の王女 第六章☆アランとエバ
「義父様に会いたいんだが」
アランが執事に言った。
「どのようなご用件ですか?王は忙しくていらっしゃいます」
執事が抑揚のない声で言った。
「義父様に、俺とエバかケインとミリーか選んでいただきたいんだ」
「ほう?」
執事はカフスボタンに内蔵された通信機で王と一言、二言喋ると、アランとエバを連れて王の部屋へ通した。
「この部屋!」
エバが息を飲んだ。アランはある程度予想していたらしく落ち着いていた。
要塞の要。よほどのことじゃないと中へ入れない。
「選んで欲しいというのは、アラン、お前の考えか?」
「はい」
「他の二人にも聞かせないと不公平ではないのか?」
「いえ。できれば内密に。いずれ時が来ればきっと俺とエバを選んで正解だったと思われるはずですから」
「ふん。……いずれ時が来れば、か。実はな、近々戦争が起きる」
「えっ?」
「その時にどうするかで決まるだろうな。せいぜい武器の使い方や鍛錬にいそしむことだ」
ケインとミリーは剣術の稽古をしている。アランは机上で戦術を学んでいる最中だった。エバは弓矢の稽古をしている。アランは自分の身体を鍛えなければ、と思った。
「用は済んだか?」
「はい」
部屋を出ると、出入り口が全く見えなくなった。
「アラン。わたくし、地球のスラム街出の女には負けたくありませんわ」
つんとしてエバが言った。
「まあ待て。仮にもあっちが早生まれだから形だけでも立ててやらなくちゃ」
「お義兄様は一番年長ですわね。頼りにしてますわ」
「ああ、任せろ」
二人はなるべく行動を共にしているようだった。




