6 パーティ(決戦の場)
私ローズマリーはただいま第一王子の誕生日パーティに参加するため、公爵家の家紋が入った豪華な馬車にて、作戦最終会議をしていた。
ここにいるのは、薄藍色の落ち着いた印象のドレスを見に纏い、花形モチーフのお団子でまとめた髪型で、メイクアップでさらに神々しい存在感を放つ超絶美少女のお姉様と、お姉様とお揃いの髪型で、お姉様と同じデザインのパステルピンクのドレスを着た私、そして着飾ったハロルドだけだ。父親は先に会場に向かっている。
「いいわね。お姉様はときめいたら報告すること。私とハロルドはなるべくお姉様から離れないようにして、攻略対象との接触を極限まで減らして印象を減らすの。そしてもし、ゲームのようなお姉様になっても精一杯フォローをするのよ。」
「任せちょき。」
「マリーもハロルドも心配性ね!何とかなるわよ!」
「お姉様はもっと緊張感持って!」
「姐さんもしゃんとしてくだせぇ!」
あれから1ヶ月程ハロルドと一緒に行動したが…コイツよく私と被るのだ。腹立つ。
「すっかり仲良しね!…あら、もう着いたのかしら?」
すぐに否定したかったが、馬車がゆっくりと止まり、ドアが開いた。
父親が微笑みながらこちらを覗き、お姉様に手を差し伸べた。お姉様は優雅に手を取りエスコートされて降りていった。
「しくじるんじゃないわよ。」ボソッ
「当たり前じゃき」ボソッ
2人に聞こえないように小声で話す。そしてハロルドは先に馬車から降り私へ手を差し伸べた。
「足元にご注意くださいね姉上。」
チィッ攻略対象だから顔がいい。えぇ。と手を取る。
…私達の運命の叛逆はこれからだ。
◇◇◇
…とさっきまで威勢のいい感じで出てきたものの、お城で開かれるパーティは威圧感が凄かった。
何もかもでかい。階段も入口も窓ガラスも公爵の家よりも桁違いにデカい。
会場に足を踏み入れた途端、まるで空気が変わるように色んな音と匂いと熱気が押し寄せてきた。
流石に豪勢なパーティである。優雅に流れる演奏。眩しい輝きのシャンデリア。精錬された使用人達。そして美しく飾れたご令嬢と紳士。
ちょっとビビっている。公爵家一家が入場したことでめちゃくちゃ注目されている。
きっと今まで姿を見せなかった幻のエリザベスの双子の妹ローズマリーと、少し前に発表された公爵の跡取り息子のハロルドに興味津々なんだろう。物凄く見られる。やめろ私は珍獣じゃないと言いたい。
ハロルドはなんで平気なんだと顔を見ると、笑顔が少し硬かった。猫を被るのは得意と自称していたので、相当緊張しているのだろう。
少し緊張が解れた。そこ、性格が悪いとか言わない。言われてないけど。
その後は父親の後についてって、ご挨拶を沢山した。攻略対象はまだ現れていない。
周りをキョロキョロしていると音楽が止まり、壮大な演奏になった。
「王家、ご入場!!」
黄色い悲鳴と拍手が鳴り響いた。
皆笑顔なのでこの国の王家は愛されているのだろう。
そしてやってきた。『ミモザの様な魔法と恋を君に』のメインヒーロー
「第一王子アレクサンドル・ウィリアムズ様!」
甲高い悲鳴が上がった。サラサラの金色の髪をたなびかせ、青緑の目を細くして微笑みながら降りていく様は遠目から見てもやたらキラキラとしている。流石に顔はいい。どうやらご令嬢の間では、もう国民アイドル並に人気らしい。
「第二王子ルチアージュ・ウィリアムズ様!」
次いで出てきた、明るい茶色の長い髪を束ねた赤がかった灰色の瞳を持つ第二王子もまた攻略対象である。こちらは顔立ちが可愛いらしく、男性からもほぅと声が上がる。
…強く生きて欲しいと思う。
お姉様の顔を伺ってみる。あ、思ったより興味無さげだな。王妃様の方を見ている。ドレスが気になるのだろうか。
殿下の挨拶が終わり、父親も挨拶はあらかた済ませたので自由にしなさいとどこか行ってしまった。王子達の周りには沢山のご令嬢が集まっている。
まるで砂糖にたかるアリのよう。
「マリー姉さん今悪いこと考えたでしょ。」
ハロルドにバレた何故だ。
「…僕も思った。」ボソッ
なるほど、完全に理解した。
「あっちのお菓子とても美味しそうよ!2人とも行きましょう!」
お姉様はお姉様のまんまだ。王子に微塵の興味もわかなかったらしい。つまり王子ズは私よりも下。
ふふん
「あっ2人とも悪いお顔をしているわ!」
お姉様も分かるのか!ちょっと感動した。
そうして、公爵家だが輪の中心に行かず、隅の方で珍しいお菓子を堪能していた。ここの食べ物凄く美味しい。流石王家のパーティ。抜かりなし。
「こんなところにいたのですね。」
突然イケボな声をかけれた。
出たな、潰すべきランキング1位…
「今回は私の誕生日パーティにご参加していただきありがとうございます。初めましてですね。アレクサンドル・ウィリアムズです。以後お見知り置きを。アンダーソン公爵のご令嬢とご子息殿。」
「あっちのお菓子とっても美味しそうよ!」の後の小話
◇◇◇
ロ「このお菓子懐かしい感じがする。…カステラみたいな。(。-_-。)」
ハ「僕も思ったけど、気のせいだと思う。いや、そう思いたい。( ^∀^)」
ロ「あとこの料理完全に生姜焼きとコロッケ(。-_-。)」
ハ「ははは、そっくりだよねぇー。( ^∀^)」
ロ「…。( ¯꒳¯ )」
ハ「…。( ^∀^)」
ロ「やめよう。疲れる。( ¯꒳¯ )」
ハ「…うん( ¯꒳¯ )」
ところでお姉様はというと後ろの方で必死に笑いを堪えていた。