3 ダンスレッスン(ご褒美)
私ローズマリーは例のお茶会から数日たった今エリザベスお姉ちゃんとダンスのレッスンを受けています。
何故かって?隔離された環境ではダンスのレッスンなんかしなかったのだ!
そして完璧なご令嬢をマスターしたエリザベスお姉ちゃんは、ダンスの相手役を買ってでたのだ!
流石!前世からの天才肌!男性パートもパーフェクトです!
私にも余裕ができたので、踊っている最中だが話しかけることにした。
「よく父親が許可しましたね。一緒にレッスンなんて。」
「えぇそうね。お父様はお母様が亡くなってからセンチメンタルになってしまっただけなの。だから私がローズマリーのお父様に似たまるでお日様の光を編んだような金の髪も、夕陽の様な壮絶の赤を受け継いだ春色のピンクも、絵画のお母様に似たふわふわな髪と垂れ目も、とっても私は好きなのよ!って伝えたら快く承諾してくれたわ!」
エリザベスお姉ちゃんが聞こえやすいように顔を近づけて、いい匂いを撒き散らしながらいきなり褒め殴ってきた。ステップが乱れて講師の人に注意され、また最初からになってしまった。
しかしこれは仕方ないと思う。…顔が熱い。
「ふふっ それにしても、王子の誕生日パーティでエリザベスの初恋の相手がヒロインの選んだ攻略対象かぁ〜」
そうなのだ。ゲームでは、ヒロインと攻略対象が仲良くなったとき、エリザベスはパーティで一目惚れした攻略対象がよりにもよって平民なんかとなんて許さない!と虐めるパターンが主流だった。
エリザベスお姉ちゃんには伝えたが他のパターンは霧がかかったみたいに思い出せない部分があり、乙女ゲームまとめ本もそんなに役にたたなかったと思う。(エリザベスお姉ちゃんはそれでも褒めてくれたけど。)
いろいろ不安はあるけれど、あのお先真っ暗な結末だけは阻止しなければ!
「エリザベスお姉ちゃん!」
「長いでしょう?公的な場では、お姉様がいいかもね。」
「はいっ お姉様!じゃあ私はマリーで!あと、そのパーティで全てが決まる訳ではありませんが、少しでも攻略対象にときめいたら私に相談してください!返り討ちにしてさしあげます!」
「マリー、後で言葉遣いのマナーについて学びましょうね。」
「楽勝です!お任せ下さいお姉様!」
「そうね!期待してるわ!」
ニコっと笑って返事をする。ゲームでのエリザベスは完全な母親似の月の光の様な美しい銀の髪とサファイアの様な澄んだ青い瞳を持つ、父親の愛を独占したナイスバディのカリスマご令嬢なのだ!
ただ酷く性格と頭に難ありだったけれど…ともかく!私も恥ずかしくないよう頑張らなくては!
「それと、前から聞きたかったことがあるのだけど…」
バンッ
っと扉が開いた。父親が現れカツカツとこちらに近づき、目の前で止まった。いきなりなんだ?音楽も止まり、緊張した雰囲気が漂う。…と父親が口を開いた。
「エリザベス…とローズマリー。商人が来たので、ドレスを作って貰いなさい。その後話があるので、2人とも書斎へ来なさい。」
そういうと颯爽と消えてった。キョトンとしていると、エリザベスお姉ちゃんが笑った。
「お父様ったら照れ屋さんなのね!」
「お姉様、今の父お…お父様の反応は照れ隠しというより不器用な人の感じてはありませんでしたか?」
きっとあれだ、お姉様パワーで私の偏見はなくなったが、後ろめたさは消えないのでとりあえず話さなくてはときっかけを作りたかったのだろう。
別に私は中身はいい大人なので余り気にしていないけれど、というかお姉様に会ったので、もう前のことはどうでも良くなったというか。
それよりも書斎と言ったか?何か引っかかるな?
そうもんもんと考えが脱線していると、
「はぁ〜い♡お嬢様たち!あちらでステキなドレスを作って、も・ら・い・ま・しょ♡ワタシが案内するワァ〜♡」
と私の昔からの女友達のように接して貰っているメイドで乙女な女性のティーナが迎えに来た。
「相変わらず元気ねティーナ!マリーも行きましょ!」
とお姉様が手を引く。モヤモヤしていたけれど、人目も気になるし、後でお姉様とお姉様の部屋で作戦会議のときに伝えとこう となった。
後で後悔することも知らずに…
少し昔の小話
◇◇◇
テ「まぁ!こんなに可愛いお姫様がこんな所にいるのぉ?(*´・д・)」
知らない女の人が話しかけてきた。新しい使用人か、前の人はよく蹴る人だったな。余り…いや全然いい思い出ないや。使用人なんていらないのに。
テ「旦那様の命令だからあまり贅沢させられないけど私がしっかり磨きあげてみせるわ!(*`ω´*)」
ロ「はぁ?(゜д゜;)」
テ「頭のてっぺんから足の爪先まで綺麗にするわよォ怖がらなくていいわァ!優しくして・あ・げ・る♡( ^∀^)」
ロ「おかm、いや待って、く、来るなぁ!∑(°口° )」
テ「カマじゃねえし( ^言^)」
ロ「…ハイ( ˙꒳˙ ;)」
こうしてティーナと出会い、話してみると普通にいい人で仲良くなるのにそう時間はかからなかった。