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不思議なことに顔つきがまるであの頃と一緒だ

その先輩は私が19歳の頃からずっと

その時期、その時期の私の状態を

客観的に伝えてくれる人物だった


特別に仲が良い訳ではない

二人で飲みに行ったりはしない

顔立ちも声も素敵だけど微塵もときめかない


ただ

この人の隠されたクズな部分は

私に似ているところがあるな

と一人心の中で思ったことはある


大人になってから顔を合わせる機会は

ぐんと減ってしまったが

数年に一度か二度

団体の中の一人として交流は続いている


先日、その先輩が今の私を見て明らかに

変化に気づいたような言葉を発した


ちなみに今までだとこうだ

手元の写真に向け残酷さを含んだ感心込みで

「この時の君は輝いてた」だの

何の見せ方の意識もせず突っ立っていた私に

「猫背がおばあちゃんみたいに見える」だの


そう……

いつも落ち着いた物腰で

冷静に私の見た目を忠告してくれる先輩が

先日まるで何かを考え込むように

私の容姿を褒めたのだ


実はこれに関しては

ずっと前から懸念していた


先輩にはバレてしまうのではないか


私が今……


「もしかしてさ……」


そんな状況はもう滅多に訪れないにしろ

もし先輩と隣同士

他に私たちの話を聞いている人がいないなら

確認事項のような問いかけを

切り出されるかもしれない


きっと私は瞬間的に

伸ばした一本の人差し指を口元にあて

心の中でこう答えるのだ


『相手公認、絶賛遠距離片想い中です』と

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