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光りとどまる蛍
弱みが滲み出てしまう人々に
まるで蛍のようにふらふらと寄っていく
それが私という人間の今までの人生でした
良かれと思って慈しむ
その結果として相手の甘えと怠惰を生み
耐えられなくなった私に
凶器を手に入れてしまう程の人もいました
どんなに時を経ても
私は同じような人生を繰り返していたのです
その最中に出会っていたのが
あなたでした
当時のことを思い出しても
冗談を飛ばし合う二人に男女間の空気は
漂っていなかったように思います
気丈なあなたと私は対等
優しさをかける必要がありません
それなのに
私の中であなたは
ただただ特別枠でした
自分が通常好んでしまう異性ではないと
何度も心に確認したはずなのに
そんなあなたが再会後
片手におさまってしまう回数で
見せてくれた暗喩的な弱さ
そんな時
どうしたの?と
直接問うことはせず
私はいつでもここにいるよ、と
その場に光りとどまる蛍でいたいと思うのです




