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カモフラージュ作り
伝え切ったと言っても
過言ではないような気がした
過去を振り返った時の後悔も
引っ張り戻したいような執着も
抱くべきではない未来への展望も
微塵も無いに等しい
伝え切った
好意も感謝も申し訳なさも
自分の不甲斐なささえも
だから
いつでも終われる状態だった
なのに
君がいないとつまらない
こんなにも人生がつまらない
だからあえて
粛々と生きようとした
真面目にやるべきことを
こなそうとした
優等生に見えるように
振る舞おうとした
それはまるで
もしまた君が戻って来てくれた時に
溺れられる余裕をつくっておくための
カモフラージュ作りのような日々だった




