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戦線離脱

戦線離脱

戦線離脱

報告シマス

A子上官ガ

戦線ヲ離脱シマス


自ら発生させているけたたましい銃声の中

マシンガンを右側の肩に担ぎ

引き金を引き続ける私は

「ふぇ?!」

と間の抜けた声を出して振り向く


そこにはニッコリと笑って顔を傾ける

敬愛すべきA子上官がいた


「わたし、戦線離脱するね」


「え、ちょっ、ずっと一緒に戦ってきたじゃないですか?!」


「目が覚めたの」


私は言葉を失くした


A子上官も私も

密林に潜む

『許容範囲を超えた自分の状態』

という化け物に向けて

マシンガンをぶっ放し続けてきたのだ


ダダダダダダ

音と振動を味わっている間は

感覚が麻痺して

許容範囲を超えた自分の状態を

忘れる

という仕組み


でもさ本来は

気分を転換させたければ

野に咲く花を摘んで?

甘いシュークリームを頬張って?

着ていく場所がないようなドレスを買って?


もう、手遅れだよ


私たちは日々急ぎ足で駆けていく道で

無造作に捨ててあるマシンガンを

見つけてしまったんだよ


それなのに


いつの間にか密林で

私は一人になってしまった


A子上官は

「目が覚めたの」

と言った


私は?


私もいつか

目が覚めるの?


ここは私が作り上げた仮想空間

手にはまだ弾が残っている

マシンガンの重み


私だって知ってるよ

この手にあるものは

弾切れになれば

さらさらと砂のように

風化していくものだってことくらいは







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