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伏せ目がちな顔にかかる薄いベールの意味は
「別に嫌じゃないよ」と
君は言ってくれているような気がした
私に好かれても別に嫌じゃないよ
ついに
ついに受け入れられたのかな
嬉しい
私は
君にとって
変わった好意を寄せてくるけど
距離感のわきまえられる
ほんのちょっと手放し難い「アリ」な女
という立場を確立させようとしていたんだ
でもそんなのは嘘だ
ただただ私は日々をかけて
「いつフラれても大丈夫な強固な自分」を
作り上げてきただけだ
「フラれても、オッケィ」という
想いの軽量化
「寂しさに溺れそうになったら」という
逃げ場の確保
だから
君にとっての『都合の良い女』
それは
私自身を守るためのベールに過ぎないの
君が唇を重ねるのは
薄いレース越しの私だよ




