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感情無き所に詩は生まれず
「私はもう大丈夫」と
打ち終わった親指に落ちた一雫の涙の存在を
画面の向こうのあなたが
感じ取る可能性はあるのだろうか
あなたの前で二度泣いたのは
決して寂しかったわけでも
非難を浴びせようとしたわけでもなかった
ただただ、あなたのことが好き過ぎたんだ
私が日々をかけて
小出しにしてきたその気持ちを
あなたはいつもどれぐらいの感覚として
受け取っていたのだろう
「夏からこれだけの詩を書いている」と
話題に出した時のその内容が
全てあなたへの想いだということに
気づいていたのだろうか
あなたからはたくさんの感情を貰った
感謝しかないよ
本来は
人に寄り掛かる側の人間じゃなかった私が
初めて甘える心地良さを知った
もう充分だ
理性を失いかけていた私から
身を引いてくれて
ありがとう
私はもう次の場所に行くね




