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くだらない春の花
君が靄のように
消えかかっている時間を
私は耐え続けた
君はいなくなる
それはまるで自然の摂理かのごとく
始めから決まっていたことなんだ
立場の違うたくさんの人と話した
それは君の記憶に
縛らることのない軽やかな時間となった
甘くて温かな飲み物を口に含んだ
それは君の不在の虚しさを
とろとろに溶かして誤魔化した
君がいなくなるのが当たり前
君と繋がり続けると地獄行き
君には新しい世界が待っている
「賢明な判断をしたね」
相手に伝わらない私からの評価を
口から小さく溢した
一人になったことを
ようやく受け入れた春
君がまた戻って来た
一度私の中で死んだ人が
また普通に相槌を打ってくる
何だろう、これは
私はまたいつでも
心の中で君を殺せるような準備をしながら
今日もまたくだらない話に花を咲かせる




