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恋愛ごっこ
私があなたを慕い続けることは
あなたを悪者にしてしまう行為に
他ならなかった
私にはきっと心が黒く染まってしまっている
ヴェールに隠された顔があるんだ
でも大抵の人は私のそんな顔は知らない
おそらく気づいていない
何かしら悩んでいることは知っていても
本当は何に悩んでいるかを知らないんだ
まぁでもこんなものは期間限定だ
あなたと私は
お互いが真の部分には踏み込まず
永遠のなさを覚悟し続けているようで……
そう、覚悟し続けているのは
私だけのはずだと思っていたのに
燃える炎に与えられる酸素の不規則な供給が
いずれ途絶えていくかもしれないことへの
恐怖感
燃える炎そのものの源が
いつか別の魅力的な酸素を
求めるかもしれないことへの
寂しさ
そう、知らなかった
寂しいなんて
「ああ、もういいかぁ、これ以上は」
うなだれたまま
カフェの丸テーブルから見上げた窓には
今日も平和な薄青い空
いろいろ試してみた結果
あなたじゃないとダメだということが
否が応でも判明しているんだけど
私からは終われないからさ
もう酸素は、いいんだよ




