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私がここにいたってことを覚えていてね

「私がここにいたってことを覚えていてね」


まるで、そんな気持ちだった


今まで出会ってきた人それぞれ一人一人に

何ヶ月も何ヶ月もかけ

機会が巡る度に声を掛けて会ってゆく


約束はいつも夜

普段箱の中にいる私は

夜風と滲む灯りを感じるだけで

もう幸せだ


一年ぶり、三年ぶり、十年ぶり

みんなそれぞれの期間を離れていたけれど

確かに同じ場所に存在した仲間だった


顔を目にした瞬間に大笑いしたり

歓声に近いものが飛び交ったり

少し高い位置から見える

走り寄ってくる姿にどきりとしたり


「楽しそう」


それぞれ別々の日にかかわらず

ハイな私を目の前にしたみんなは

温かい眼差しで口を揃えてこう言った


「うん!楽しい!」


大切な受験が終わった春休みのような気分なの


ここ数年は立場上

無意識に自分自身を圧迫し

一喜一憂の沼の中にいるようだった


どうしたら気持ちが安定するのか分からない


でもやっと思い出したんだよ

私なんて、本来はただの自由なクズ人間だって


それでね、無言のお願い

私がここにいたってことを覚えていてね


誰かに認識されないと

なかったことになっちゃいそうだから


33歳の私は

これらの夜、確かに存在したの

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― 新着の感想 ―
[良い点] 誰かに認識されないとなかったことになっちゃいそう この言葉が身に染みてわかります。 結局自分の目で自分を見ることなんて出来ないんだから、自分の存在は誰かに確かめてもらうしかないんですよね。…
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