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再訪
私たちは今日も丁寧に生きている
同じことを繰り返す
半分先生の趣味のような授業を聞き
体育館で時に身の入らない練習に時間を割き
アルバイト先のロッカールームでうなだれて
絶えることなき食材選びに足を運ぶ
ああ、あの時間はもう戻らないのかな
きちんと生活している最中
脳裏に浮かぶ夢の過去島
あの過去島の限り無き尊さを
本人以外の誰が理解できるのだろう
何がそんなに良いんだと
どこがそんなに好きなんだと
でも私たちはその想いに
絡め取られるわけにはいかない
一生懸命生きてるんだよ
誰かに頼まれてるわけでもないのに
黒板から書き写したノートを閉じ
片隅に転がった最後のボールをカゴに放り
時計の長針を確認しエプロンを正して
人の手からしか生み出せない栄養を並べる
そうしていると、ふとね
目を見開いてしまう
それは過去のものか新たなものか
人によって確実に違うだろうけど
しずくみたいなものが
光落ちるんだよ
ああ、また夢の島の中にいる、私
幸せは私が決める
誰にも何も言わせない




