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夢で逢えても、唯
私たち二人は
この世に生を受けた時から
派閥が違う者同士
気がつくとここは
華美な装飾が施された宮殿にある
大会議場の入り口
真っ先に思うは
あなたという存在の有無
気がつくとすでに
会議は始まっており
様々な家柄の若者たちが
派閥ごとに席を陣取っていました
円形状に広がる会議テーブル
私から遠く斜め前方に目立つは
派閥が違うあなたの姿
発言権の強い家柄であるあなたは
堂々とした立ち振る舞い
未来を見据えた言葉の数々
溜息が出るような強い存在感に
思い知らされます
やはり夢で逢えても
私たちは
人の波あるところ
近づき合うことはできないのでしょう
あの森林深き木漏れ日の場所で
人知れず微笑み合った
数えられる程の逢瀬が
まるで私が自ら作り上げた幻想のよう
大会議場という何の夢もない夢の中
逢えたあなたを遠くから唯見つめます
夢で逢えたら
夢で逢えても
私たちは変わることはありませんでした
きっと
運命を変えるような魔女の決死の魔力でさえ
神の愛ある贔屓を受けた来世でさえ
私たちを引き離す世界が
変わることはないのでしょう