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私の長所
君が必要以上に
私の髪に触れなくなって
ついにこの時が来たか、と
身構えたりしていた
ずっと君のスタンスに合わせてきたの
必要そうな時はいっぱい登場して
忙しそうな時は平気そうな顔をして待っていた
君の態度の変化と
私を想う友達が貸してくれた本を読んだら
やっと私にとっての君の比重を
減らす決断ができたんだ
あまりにも君が好きすぎた
でも君だけじゃないんだぞ、って
私の人生、君だけじゃないんだぞ、って
恋の扉を開け始めた頃、言ったよね
「私、すがらないことが長所なの」
「それって長所なの?」
君は笑っていた
長所でしょ?どう考えても
君にとっての都合の良い女が
ここに完成しているでしょう?
でもね、髪越しにもらう
あなたからの手の温かさがないと
都合の良い女だって簡単に崩れちゃうんだよ
油断したね
ふと思い出してまた触れようとした時には
もう遅いんだから
私、すがらないことが長所なの




