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ドラマを作れ
僕らは自分自身を演出するんだ
そう、勝手にドラマを作るんだ
腰できゅっとしまった
煉瓦色のスカートを翻せ
あざといコンビニ店員のあの娘に
くしゃっとした紙切れ上の連絡先を渡せ
何杯飲んだか分からないフリをして
思い返してくれている隙に抱きついてやれ
好きな娘の巻きポニーテイルを
斜め後ろから指先で揺らしてやれ
僕らは自分自身を演出するんだ
そう、勝手にドラマを作るんだ
待っていたら誰かが何かを
「はい、どうぞ(ハート)」って
持って来てくれるわけないだろう
僕らは自分自身を演出するんだ
そう、勝手にドラマを作るんだ
スカートが綺麗に波打つ瞬間に
くしゃっとした紙切れが開かれる瞬間に
抱きついた後に見上げてみた瞬間に
揺れてるそばから振り返られた瞬間に
勝手にドラマが始まっている
それは僕らが作り出したんだ
だから
何にもない世界だなんて言わないでよ




