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色の薄い薬草
中毒による喜びが
通常の感情領域を振り切る時
その毒性のマズさを
自覚している私がいた
この毒は非常に有効で
それでいて危険だと
そんな正論で身動きが取れるはずもなく
ただ毒を口に放り込んでは
生きていることを実感する
ただ昔と違うこと
それは、自分だけの世界で
物事を完結することができないことだった
様々な角度から
対処を求められる「リアル」に
大人は毒をありのまま
楽しみもがく時間がない
だからこそ
あの猛毒を体内で
優しい薬草に変えていく術を
いつしか身につけたの
はらはらと体の奥底に
色の薄い薬草が落ちてゆく
君がいるから人生が楽しいよ
何が起こっても起こらなくても
平気なんだよ




