表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/205

恋い焦がれる人が好む作家

「私、もうだめだ」

自身を嘲笑いながら吐露された

彼女の心情


「だめだ、もう石平 瑛太しか読めない」

噴水に視線を落としたままの

読書友達の彼女は

私になんだか申し訳なさそうに

そう言葉を続けた




彼女は日夜

自分が恋い焦がれる人が好む作家の小説を

(むさぼ)るように摂取している


来る日も来る日も

片っ端から読んでいく


他の作家の本を

まるで手に取る気になれない


全ての空き時間は

恋するあの人に繋げたい


どうやってやめたらいいかが分からない




「読んで、あの人のこと思い出してるの?」


水飛沫(みずしぶき)がきらきらと

公園の平和を象徴している世界で

私たちはどこかつかめない話をしている


「ははは、思い出してるっていうか……」


素直でいれる権利は

何かと引き換えに剥奪されてしまったから


「病気が続いてるんだ……」


まだ恋をしているとは

彼女は口が裂けても言わなかった

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ