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召使い
ようこそ
秘められた「木陰の森」へ
ここは外の世界で切磋琢磨して
戦っていらっしゃる方々の目には止まらぬ
限定的なオアシス
木々の間を歩くのは
召使いと三頭身の妖精の組み合わせばかり
三頭身の妖精は
時に風にのる石鹸の泡玉を目で追いかけ
時に牙をむき出しにし大粒の涙を流します
他の人間からは知られることないこの森で
召使いは奔放な妖精のお世話に従事する日々
穏やか過ぎる混沌が、まるで
召使い自身の時間軸を狂わせてしまうかのようです
「私は何歳だったかしら」
可愛いらしい三頭身の妖精は
今日も無邪気に水浴びをしています
細い滝のように流れ出る水の出口に
小さな手のひらを伸ばす妖精たち
見守ってばかりゆえ
誰にも見られない召使い
自身の女性の在り方を
忘れてしまった召使い




