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恋の最果ては周りを幸せに
両者にかかった解けるべき恋の呪い
目が覚めるのはどちらが先か
油断すると切れてしまいそうな想いの糸
手の届く範囲で丁寧に編み込み続ける
恋に代表されるような言葉は使わない
歪んだ角度から際どい問いを投げかけるのみ
いつしか時が来て、二人の内
どちらかの伏せられた目が開かれた瞬間
周りの人々は拍手喝采で
迎え入れてくれることでしょう
良かったね
目が覚めて
こんなの
ろくな恋じゃないよ
人々はそう言いながら
本人の肩を抱くように背中を押し
現実みのある世界の入り口へ
まだ覚めやらぬもう一人は
ただ呆然と事の成り行きを見守るのみ
両者はすでに
渦中に身を置かれていた頃から
暗黙の覚悟をしていた
これは解けるべき恋の呪い
誰からも理解されない恋の類
その最果ては
周りを幸せにする「さよなら」




