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待ちわびることもなし
君に次に会える季節は
「冬」だと認識している
何の実感もない「冬」
一体いくつの困難を乗り越えれば
その「冬」にたどり着けるのか
まるで想像もつかない
だから私はまだ
待ちわびることもしていない
残暑に気が滅入る日差しの中
自転車を停めて自動ドアを抜ける
涼しい店内の奥から持ち運ばれてきたのは
ふわふわのファーがフードについた
ベージュのダウンジャケットだった
納期の調整で受け取りを
この時期に指定された私は
背中にうっすら浮かぶ汗と冬物の
あまりの違和感に
ようやく、ようやく実感したのだ
「冬って……一体いつ来るのよ」
そう、少し笑ってさえもいた
人生ってすごいね、と
長くもあるね、と
ねぇ、冬まで私は何をして過ごす?




