26/205
生きている大半を『忘却』に費やした
生きている大半を
『忘却』に費やした
この何でもない日々
傷つきたくない
嫌われたくない
重くなりたくない
あなたに話しかける時間は
限定的な開き窓をあけ放った瞬間だけ
木枠の窓際にはまるで季節がどれほど巡ろうと
枯れることを知らない色とりどりの花
「ねぇ」
呼びかけに穏やかに振り向くのは
何事にも動じない大人なあなた
一部しか知らないの
この限定的な開き窓から見える
あなたしか知らないの
それでもいいなんて
終わってる
生きている大半を
『忘却』に費やした
この何でもない日々
限定的な開き窓をあけ放つ瞬間まで
あなたのことを忘れたい
せめて、時間外に
窓に手をかけてしまいそうな
私を見つけないで欲しい
外側から窓に映る私の憐れな影を
どうかどうか見つけないで




