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周りからすれば恋として刻まれる可能性の低い泡の中の煌めき
あぁぁ
でも結局
永遠に同じ人を好きでい続けるという実験は
失敗に終わってしまった
もう無理だ、私は
でも君の引力にはどうしても抗えない
ただ、それだけだよ
君とはまさに
同じ時間を今、共有している
という感覚がある
お互いが実際に目にしない状態の中
それぞれが口にしている食べ物やお酒を
声と文字で伝え合い
「それ美味しいよね」
と認め合う
歌番組から流れることを期待していた
湖のように澄んだ本命曲に
君の美しい中性的な声が重なり
それが小さい画面を通して私の耳に届くと
高めずにいられなかった想いが溢れる
明日君が行く予定の映画館で
空きが少ない座席のどこを予約するのか
永遠かのように悩んでいる独り言を聞いた後
「一緒に行きますか?」という
叶わぬ夢をのせた君の引力に
私は胸を疼かせる
どこからが本当の恋だと
何を基準にして刻まれるのだろうか




