198/205
甘く溶け残る黒糖
大人だから
場数を踏んでいるから
自身の心を適する位置に戻すことなんて
どうとでも出来る
午前の日が降り注ぐ窓際のカウンター席には
ひとつひとつ天井から
緑色の曇り硝子で覆われた電球が吊り下がる
黒糖アイスミルクコーヒーが
水滴を携えた純銅マグカップの底で
甘くとろけた跡を残す
起きていれば良かったのだろうか
深夜に活動しがちな君を追いかけて
何の定められた予定もない中で
可能性に賭け続けなければ私は
満たされないのだろうか
きっと今の私は
周りからより一層何を考えているのか
分からない状態になっていることだろう
でも別にいいだろう
通常任務を果たした隙間時間に
勝手に夢の中で生きているだけなんだから




