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存在しない花占い
来る、来ない、来る、来ない
実際には存在しないのに
まるで花びらを一枚ずつちぎる
花占いのような問いかけが
脳内を占める午後10時
室内の消された明かりを埋めるかのように
人造人間系アニメが煌々と輝く
私は缶ビールを片手に
ローテーブルに突っ伏し、
指に力を入れると
長方形に光を発するスマホの
メッセージ画面をチラ見する
メッセージが来る、来ない、来る、来ない
「どうしたの?疲れたの?」
とよく言われる
ううん、違うの
疲れてるわけじゃないの
恋焦がれるてる自分の傷を浅くするために
何にも感じなくて済むような
心を維持してるだけなんだよ




