どさくさに紛れて君に抱きつきたいや
フラれなきゃ次に進めない
あまりにも結果に自信がなくて
そんな気持ちに似た必死さで自己採点をしたら
資格の試験に合格していた
今までかけた時間と労力
頑張れないしサボれないという性質
「私だってお気楽な立場に
甘んじてるというわけではないんだ」という意地
全てをひっくるめた状態が歓喜の波と変わって
固いフローリングの床に
私をごろんと両腕を広げたまま横たわらせた
もし第一志望の大学に合格してたなら
こんな感じだったのだろうか
ふとそんな遥か昔の自分に重ね合わせてしまった
手元の画面に目を遣ると
君からの早過ぎる「おめでとう」という返信
今日はもう返信くれたんだ……
「この喜びの感情のまま、どさくさに紛れて君に抱きつきたいや。笑」
なんてね、送ってみた
無邪気に君に抱きついてる自分を想像しながら
返信は明日以降、来るか、来ないか、だろう
もし返信をもらえたとしたら
私のおかしな言葉に涼しい顔してツッコむんだろう
その直後
ピロン
「おいで」
……え
いいの?
想像上で先程まで抱きついていた私がどこかに消え
君から少し離れた場所で躊躇している私が突然現れた
本当に抱きついていいのかが
分からない
実際には会えないから
分からない
私は君が住む街に近づくことを
歓迎されない状況の人間だから
確認のしようがない
君の言葉にぎゅううと
心臓を握りつぶされている私が
ただただここに立ち尽くしているだけだ




