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言い訳をする価値
「5日間音信不通でも戻って来る」
私はそう、新たに心に書き留めた
彼と私は何の指切りもしていない
何かを一緒に始めた関係でもない
繋がりを終わらせる言葉を
用意しなければいけない
義理もない
だから当初なんかは
いつ飽きられるんだろう
いつ手放されるんだろう
と何度怯えたことか
最近になってようやく
「今の彼の土日は忙しい」
「やり取りを終わらせるのはいつも彼」
「3日間音信不通でも戻って来る」
という状況を無理なく受け入れられてたんだ
そういうのを飲み込んでもいいぐらい
「もういいや」と言えないぐらい
やっぱり『推し』で
ただほぼ初めて5日間音信不通になった時に
ついに彼にとって
私の存在の意味が
なくなったのではないかと思った
だから私は
「幸せだった」と
感謝の言葉を述べたの
すると彼は
近況に加えて
まるで言い訳のような返信をよこしたのよ
「そっか。そうなんだ。
それは仕方ないよね!」
まだ私には
言い訳をする価値があるらしい




