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最期に標準を合わせた「好き」を
私の「好き」が相手にとって必要のない時期に
綺麗なものと可愛いものと素敵なもので
気を晴らして晴らして
それでも自然消滅することはなく
「好き」をやめないのは何故なんだろうかと
「まだ好きだ」と
ほろ酔いでお調子者になった私は
唯一の事実を知る女友達に
あっけらかんと吐露をした
「まだ好きなの?」と
年月を指折り数えた彼女は
普段そんな話を自らしない私に
意外性を含んだ目を向けた
「好き」の微調整をすることによって
自分の中の「好き」も衰退しなくて
相手の中の「想われる重さ」も軽減されて
そうして続いて欲しい
残りの人生
他の人に甘えてしまう時もあるだろう
他の人を翻弄しようとする時もあるだろう
他の人をあなたの代わりにすることもあるだろう
でも最期に幕を下ろす時
あなたの表情と声と言葉を思い出して
全てを終えたいの




