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脳は恋を欠く
いいところを見てるだけ
いいところを見てるだけ
脳はそれを唱えていた
心は幾度それを諭されても
「好き」に支配されていた
脳は、10年ほど前に友人とした
「あの人と付き合ったら面倒くさそうだ」
という会話に妙に納得していた
心は、2年ほど前に本人から聞いた
「僕らは心の中で繋がっているのかもね」
という神秘ともとれる関係性に固執していた
脳と心がこんなにも別物だなんていうことを
嫌というほど思い知らされるのは
胸の高鳴りと繊細な傷を
私に与え続けるあなたを想う時だけだよ




