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オモテの人生には「存在していないもの」
私の裏側の世界では
君のことが一番だなんて
君はきっと
知らないのだろう
君が私の動向を操るような
乙女ゲームに興じるなら
私は喜んでそのコマとなり
一般的には考えられないような
派手な舞いで鱗粉を撒き散らすのだろう
君が私の知らない世界で
何かを謳歌しているなら
私は有意義な暇潰しを求めて
小さな画廊に吸い込まれ
ミントブルーのピンヒールの絵画に
一緒の信仰を持って心奪われるのだろう
君がもし現実世界で
その胸を貸してくれるなら
言葉にしたら全てが崩壊する想いを
ただただ涙にして
最後には結局
そっと離れた私から
「そろそろ帰ろうか」と
何事もなかったかのように
切り出すのだろう




