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眩ませたまま存在するもの
「この人に友情以上の好意がある」
そう認識してしまったのは
数年ぶりの再会後に君が
私の心の蓋を
開けてしまったからだ
開けられた蓋は
自然には閉じるはずもなく
心は自身の中でさらされた状態で
君からの喜びと痛みが交互に直接的に
内部をえぐってくる
それでも懲りることなく
「会えますように」と手を合わせ続けた
けれど
諦観は突然やってきた
いつものように手を合わせていた数日後に
「もう会えなくても大丈夫」と
初めてナチュラルに思えたのだ
諦めることに
一年と少しがかかった
この呪いみたいな願望だけは
どうしても付き纏ってくるな、と
辟易していたのに
私はまた
君と出会って間もない頃のように
心に蓋をしている状態に戻ることが出来た
「君は私の友達だよ」
耐え難き恋の重圧に
好きという感情は押し潰され
そこに存在したまま姿を眩ませた




