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陶酔
この先の人生
私は一体何を目的にして生きていけばいいのだろう
多岐にわたる任務や役目を
こなしていく達成感のみの生き方は
私の場合虚しさが滲み出てくる
また個人には個人の人生があり
それを精一杯温かく支えはするけれど
どうにかしたいなんておこがましい
そう
ただただ私は
再び君に
会いたかった
しかしそれを目的にするには
余りにも全てが不確定
目指すには
何の保証もなさ過ぎる
だからそっと
目を閉じた
世界に在るありとあらゆる
美しいものに触れ続けたい
写真集におさめられた遥か遠くの名所や
美術館に厳かに飾られている麗しい絵画
そんな壮大なものでなくていい
例えば
一枚の碧い花柄の
メッセージカードのようなもの
私は日々
そういう美しいものに
触れ続け
救われる
生きている限り
ありとあらゆる美しいものに
没入してゆきたい
瞼の奥で
君に会える日を夢見ながら




