159/205
まやかしだとは分かっていても
目の前が山と田んぼの平家で育った私は
大人になった今
華やかな都会がとても好きだった
きっと肩に力を入れることなく
ぼんやりと過ごせるのは
生まれ故郷のような環境や
自分と同じような空気感の人達の中
でも私は車窓に片側の額をつけて
流れゆく高いビルとイルミネーションを
羨望の眼差しで見つめる
私にとっての君の存在は
この憧れの景観と同じだった
自分を高い意識のところまで
連れて行ってくれる
この街に綺麗に溶け込みたい
甘んじることなく
背筋を伸ばしたくなる
君の前に永遠に現れたい
その感情や実態が
たとえまやかしの一種だとしても
前を向き続けた人生だけが残るんだ




