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春、願望
放ったらかしにされて
それが一般的には
全く長い期間じゃなくて
気に病むレベルでも何でもなくて
それなのに気を晴らすため
自分にしか価値を感じられないような
新鮮な目標なんか立てたりして
ただ逆に今まで
あなたの存在があったからこその
既存の目標が霞んで意味がなくなったりして
でも
あなたがいなくても
腐りたくない
と、車窓の流れる景色に何かを誓う
あなたは
時に距離を詰め
時に距離を取る
気付けばまた
私の肩先についた桜の花びらを指先で取り
しばし眺めていた
「ずっと春を待っていたの」
私はその姿に向かって
眩しそうに呟く




