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想い、発症

僕の人生には

第一優先など存在しなかった


たとえどんなに可愛い彼女がいても

男だけで過ごすくだらない時間と

体を動かすことと

バイトしてある程度の金を得ることと


そういうバランスの取れた生活を

卒なくこなすのが望ましい


そうやって生きてきた

はずだった




「私、先輩と二人でいるのがやましいです。

先輩は素敵だから」


発症した瞬間のことは覚えている


それは一体

どういうつもりで放った言葉なのか


他大学に彼氏を持っている後輩が

サークルメンバーで訪れた花火大会の帰り道

たまたま二人になった時に

そう僕に言ったんだ


その日から突然襲いかかってきた症状は

昼夜を問わず

(おさま)ることはなかった


飲み会での座席の近さ

部室でのたわいもない会話

SNSやメッセージのやり取り

大学構内でのすれ違いでさえ


僕の第一優先は……


「先輩っ」


ただの病気だということは知っている


『早くこんな症状は(おさま)ればいい』


そんな呪文を繰り返していた日々の中


ふと見つめてみたのは

この症状から回復した先にある未来


それは今と比べれば比べる程

手応えのない空虚




きっと

恋の病は発症したが最後

どういう形であれ

僕は自身を見失うことになり

アンバランスな生き方を

余儀なくされてゆくんだ

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