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不幸な毒林檎
毒林檎を食べ
担がれて
ふと目を開けるとそこには
白衣姿の見知らぬあなたがいた
懸命に施された処置に
私は息を吹き返してゆく
しばらくして
少し上体を起こすことができた私に向け
あなたは白衣をひるがえして振り向き
何でもなかったかのような微笑んだ
何でもないあなたの対応
何でもないあなたの微笑み
何でもないことが
私にとっては痛く特別なものとなった
毒林檎を食べてしまった不幸によって
最上級の喜びを目の当たりにしたの
ねえ、知ってる?
世界中で不幸が今日もまた
皮肉な喜びを生み続けてる




