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紳士的
「僕は紳士的な方だと思うよ」
え
何の男女間の約束もしていないあなたと
二人きりの空間
自己セーフ基準値下で甘えた私に対して
去り際にぼそっと口にされた言葉
「普通だったらもっと身体触りたくなると思うよ」
「そうなんですか……」
請うように唇を重ねて
二の腕辺りから抱き寄せてもらえた後の
予想もつかなかった告白に
私は放心状態気味でそう返すしかなかった
私の身体なんか……
触りたいか?
触りたい対象なのか?
一応こんな私なりに
軽く見られたくないっていうのもあって
あえて隠したんだよ
『胸元が見えそうだよ』
って
「慎みなさい」っていう意味で
言ったんじゃなかったの?
とゆうかこれ……
夢はある方がいいと思って……
盛ってるしな……
それに……
「先生」
誰が紳士的になれって頼んだの?




