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機械仕掛けのカプリッツィオ!  作者: 胡桃リリス
第一章 ガール・ミーツ・フール
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1-5 シャデュ・デワデュシヂュ中尉との会話

 案内された客室のベッドに腰掛け、一息ついていると、外から中尉の声が聞こえてきた。


(イワイ)、話がある。今、いい?」

「どうぞ」


 ドアが開くと、中尉の他に、エレンさん(仮)の仲間の女性が入ってきた。念の為に二人で来たって感じかな。

 マリス中尉と名乗った彼女も交え、さて、デワデュ……なんだっけ。


「デワデュシヂュ」

「失礼しました。デワデュシヂュ中尉とマリス中尉は、どのようなご用件でいらっしゃったのでしょうか?」

「マリスは護衛。話があるのは、私だけ」

『○○○○、Elena○○○○、○○○』

「マリス中尉が、エレナや私たちを助けてくれてありがとう、と言っている」

「あ、いえ……」


 マリス中尉が好意的な表情で俺に向かって何か言うと、デワデュシヂュ中尉が同時通訳してくれた。


 さて、要件の方については見当がついている。

 近くの椅子に座ると、デワデュシヂュ中尉が静かに口火を切った。


「祝、貴方は私が怖くないの?」

「え、と……」


 軍人だから、戦えばそりゃ中尉の方が強いんだろうが、別に危害を加えられないのであれば、それほど怖いとは思わない。


「……そうじゃない」

「あ、はい」


 もう隠さなくなったな。


「そう、貴方の考えている通り、私は他人の心が読める。貴方の世界で言うところの、サイコメトラーという存在。私は、尋問やスパイ発見、通訳のために、軍へスカウトされた」

「それは……俺に教えてもいいんですか?」

「見破られているから、隠す必要もないと思った」


 いや、俺が言いたかったのは、スカウトされた要因についてなんですが。


「問題ない。駐屯地の隊員たちは皆知っていること」

「俺、一応は部外者……なんですけど」

「このまま部外者でいられるとでも?」


 デスヨネー。

 多分、この後色々と悶着があるに違いない。

 何故なら、ここは異世界だから、ではなく、色々ととんでもないことをやらかしまくったからだッ!

 それくらいの自覚はある。

 人体実験はないと信じたい。


「話を戻す。貴方が私に抱いているのは、好意に近い。けれど、気持ち悪いだとか、嫌悪の感情が全くと言っていいほどない……何故?」

「えと、そこまで読めているなら、理由もわかっているんですよね?」

「だからわからない。主人公気質だとか、リアルで会ってみてたがやっぱり感じなかった、とか感想を浮かべられても、私には全く理解できない」

「そう言われてもなぁ……」


 確かに心の中を見透かされることに抵抗感がないと言えば嘘になる。


「でも、中尉は誰かの思考を読みとったとして、それで何か悪さだとかしますか?」

「しないし、他の人の考えていることなんてあんまり興味ない」

「じゃあいいです」


 それが俺の答えだ。

 難しいことなんて考えてもよくわからん。


「……貴方は、精々が私に……その、フリルの付いた服を着たイメージを見られて嫌われたら嫌だな、だとか、もしかしてこれフラグが立っているんじゃね、という思考を読まれて嫌われたら嫌だな、くらいしか、この力に対する抵抗感がない」

「一々口に出さなくてもいいですから!!」


 心の中で土下座しておく。

 ちなみに、俺はロリコンてもペ○でもない。中尉に感じるのは、精々が妹や娘みたいな感じだ。そうだよな、俺、そうであってくれよ……ッ!


「貴方が何を考えようと危害を加えてこなければ自由。でも、父性ではないと思う」

「ガーンッ!?!」


 読心能力者からの判定にショックを隠せないぜ……。


「後、この力はオン・オフが自由。心を読んでいない時もあるから、変な同情はいらない」

「いや、別に同情し……ァ、ハイ、サーセンしたぁ……ッ!」

『っ!』


 唐突にマリス中尉が噴き出した。

 多分、デワデュシヂュ中尉が普段とは違う姿を見せているからだろうな。微笑ましいって奴だ。

 その中尉が、マリス中尉と俺を睨んだ。

 あ、はい、サーセン。


「……貴方は、私を貴方の世界から転生、転移してきた人物だと思っているようだけれど、それは違う。私が貴方と話せるのは、この力があるから」

「そうですか」


 残念な気もするが、それじゃぁ仕方がない。


「だから、私がこれから貴方の護衛、及び通訳を行う。希望通り、資料室から言語学習用の資料を持ち出す許可ももらってある」

「ありがとうございます」


 流石はデワデュシヂュ中尉、やっぱりいい人だぜ!!

 あ、はい、調子乗りましたサーセン!


「ふぅ……それじゃあ、この後、また来るから。それまで休んでおいて」

「はい、わざわざありがとうございます」

「いい。それが私の仕事だから」


 そう言うと、デワデュシヂュ中尉はマリス中尉を連れて、部屋を出た。その際、マリス中尉が俺に向かって小さく手を振ってくれたので、軽い会釈を返しておいた。


 二人が出て行った後、ベッドに大の字になって、今後の事を考えた。


「……とりあえず、部屋中の監視機材は全部調べておくか」


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