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機械仕掛けのカプリッツィオ!  作者: 胡桃リリス
第一章 ガール・ミーツ・フール
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1-2 『独房なぅ』


 数分後、俺は独房にいた。


 うわぁ、牢屋っていうか、そう言う場所に初めて入ったけど、案外温かいもんだね? 薄暗くてよく眠れそうだけど、トレイってペーパー……あ、ある。よかった。

 備え付けのベッドに腰掛け、この基地に来てからの事を振り返る。


 取り囲まれた俺は、見るからにイケメンでエリートっぽい男性にいきなり詰め寄られた。俺は言葉がわからないなりにジェスチャーで説明しようとしたが、バカにしているのかと言わんばかりに怒られた上に拳を振り上げられたので、恐怖のあまり相手の恥骨にイイ一撃を入れてしまった。


 白目を剝いて倒れるイケメン(笑)、再び静まり返る基地の人々。


 男性のほとんどが内股気味になり、女性の何人かが感心したような声を出したり、顔を手で覆いながら指の隙間から見ていたりした。中には、こっそりグッジョブと言わんばかりのハンドサインを送ってくる者もいた。アンタらそれでいいのか?


「やっちまったぜ……思わずな……」


 どうしましょうと周囲を見渡すと、全員から目を逸らされた。敵はいなかったが、味方もいなかった。ハンドサインを送った奴らもだ。オンドゥルルラギッタンディスカ?


 その後、頭を掻きながら近づいてきた中年の渋いオッサンが俺の肩に手を置き、案内してくれたのがこの独房だった。とりあえず入っておけ、と軽く背中を押されたので、抵抗せずに従っておいた。




 以上、回想終わり。

 反省もしていないし後悔もしていないが、とりあえず銃殺刑はないよね? と内心かなりビビりながら、表には出さない。独房の外には見張りの人がいるだろうし。


 荷物を取り上げられず、手足に枷を着けられなかったのは僥倖だ。結構ヤバい事をやったはずなんだが、あの渋いオッサンの指示っぽい。後、エレナさん(仮)に呼びかけていた女性パイロットも何か言ってくれていたし、二人には感謝しておこう。


 しかし、暇だ。

 携帯電話を取りだして、自撮りしておく。さっきコックピットで撮っておいた画像群の下に新しい画像が保存された。

 タイトル名は『独房なぅ』にしておこう。地球に帰ることができたら、知り合いに見せよう。きっと大喜びする。


『○○○、○○?』


 窓から見張りの人が声をかけてきたので、何でもないです、と手を振っておく。


 それにしても、命のやり取りというか、死が飛び交う戦場にいて、巨大ロボットに乗ったのにも関わらず、あんまり疲れを感じないな。あ、いや、緊張のあまりそう感じていないだけか。

 ……暇だし、とりあえず寝てみるか。


 あ、そうだ、エレナさん(仮)は大丈夫かな……オッサンは問題ないって感じだったけど。あ、そう言えばロボの右腕どうしよう……後で絶対怒られるよなぁ。

 リュックを枕にして、置いてあった掛け布を被って寝転んでみたら、すぐに意識が暗転した。おかげで、現実逃避はそこで終わった。


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