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機械仕掛けのカプリッツィオ!  作者: 胡桃リリス
第二章 起動実験
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2-4  武装追加実験

お待たせしております。

 格納庫に戻り、大佐から今後新しいアイデアが浮かんだら実行前に相談しろと怒られ、次なる仕事へと取り掛かった。


「どうだイワイ?」

「……だめですね」


 横たわるクリス大尉のゴーレムに乗り込み、コックピットの壁に手を当て、操縦桿やフットレバーを軽く引いたり押したりしてみるが、何の反応もない。


 俺のもう一つの仕事がこれ、エレナ機以外のゴーレムでも、メルティング・ブラスターやそれに類する新武装が追加されないかという実験だ。

 しかし、一度たりとも何かしらの力が他ゴーレムに発生した試しはなく、あれやこれや試行錯誤を繰り返している。


「そうか……メルティング・ブラスターがあれば、狙撃してくる奴らにもすぐ対応できるのになぁ」


 そう言われても、発現しないものは仕方がない。

 その後も俺は一度機動してから、大尉が傍に座っている状態など、色々と方法や条件を変えて試してみたが、結局何も起きなかった。


 実験終了の後、大尉と一緒に整備されるゴーレムを眺めながら、意見を交換し合う。


「あの時の様子を再現してみるか? 火事場の馬鹿力的なもんで発動している可能性は指摘されてたし、案外行けるんじゃねーか?」

「でしたら、誰かに相手役を頼む必要があるかもしれませんね。クロスボウか弓でも構えてもらって」

「誰も引き受けてくれねぇーよ」

「ですよね」


 もし発動しても撃つつもりはないが、下手したら味方に殺されるかもしれない実験なんて誰もやりたがらないだろう。


「まぁ、できねぇもんは仕方ないか」


 クリス大尉はあっさり言うと、整備に加わり始めた。

 装甲の具合や各所に設置された魔法陣や魔具の点検などを行っている様子をしばらく眺めていたが、俺もレポート作成のために部屋へ戻ろうとして、


「祝」


 振り返ると、デワデュシヂュ中尉が立っていた。


「先ほどはありがとうございました。それとすみません、大佐を止めていただいて……」

「それはもういい。それより、レポートを作成した後、何か用事はある?」

「ないですね」

「わかった。提出が終わったら、もう一度格納庫まで来てほしい」

「わかりました」


 部屋に戻り、すぐさまレポートに取り掛かる。と言っても、俺が作れるのは拙い出来のものなんだが。

 とりあえず、ナイアデス・カッターについては鉄砲水の強化版とだけ書いておこう。エレナさんに聞いてみたが、水流であんな事ができるだなんて夢にも思っていなかったそうな。

 つまり、この世界ではまだ、水流による切断・貫通はできないと思われているということなのだろう。

 出来心でやってしまったが、あんなもの、本当は見せてはいけなかった気がする。技術士官たちなら生身の魔法で再現しようとするだろうし、そうなればこの世界に悪影響ががががが……。

 頼む、ゴーレムの泥落としの時にメッチャ便利だ、くらいのところで止まっておいてくれ。


 レポートを作り終え、大佐に提出した時に、ナイアデス・カッターを生身の魔法で使うことはできるのかと聞いてみたところ、


「できたら苦労せんわ」


 と呆れられた。


「確かに水流を扱う魔法はあるが、精々が土砂降りの雨に打たれた程度の威力だ。相手の頭上から大量の水を落として攻撃するという手は有効だがな、アホみたいな魔力と技術がいるし、無防備な姿を少なくない時間、敵に晒すことになるから、使い時も使用できる奴も限られている」

「そうなんですか」

「そう言うことだから、連中がお前のナイアデス・カッターとやらを再現しようとしても、魔力が足りないだとか、既存の水魔法よりも多少威力が上がりました程度で終わっている」


 案外、簡単にいかないんだな。

 よかった。


「今のところはな」

「わかりました」


 今のところは、という言葉が恐ろしいが、諦めて洗浄機能の方に注目するようになってくれ技術士官殿たち!


「それよりも、どうにか他のゴーレムに搭載はできないもんかねぇ?」

「クリス大尉が場面を再現してみるか、とは言っていましたが」

「下手したら愛機ごとぶっ飛ぶかもしれない実験に付き合ってくれる奴はいねぇよ」

「ですよね」

「こう言っちゃなんだが、イワイ、お前、やる気あんのか?」

「と、言いますと?」

「いや、なんつーかな……お前が真剣にやっているのは俺もこの目で見て知っているし、他の奴らとも上手く情報交換をしながら実験に向き合っていることも分かっている。だがな、お前が言ったんだぜ? 無我夢中でやったらできたってな」

「それはそうですが……」


 だが、無我夢中でやらなくても、他のゴーレムもエレナさんのゴーレム同様、ほぼほぼ思考だけで機動と運転ができている。技の方だって、俺とエレナさんだけしか起動させることはできないが、使用が――――。


「あー、すまんかった。さっき驚かされた仕返しのつもりだったんだが、そんなしょ気るなよ……」

「いえ」


 大佐はなんだかんだ言いながら、いい人だ。短い付き合いだが、おやっさんって感じがして、嫌いではない。


「明日もクリスとやってくれ。鹵獲したゴーレムの残骸を使って、場面を再現してみるのもありだな」

「想像すると、かなりシュールな光景ですね」

「シュールな光景で部下たちの生存確率が上がるんなら、俺はそれでいいと思うがな」

「なら、俺も張り切っていきますね」

「おうおう、頼むぜ?」


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