落ちこぼれ魔法剣士が英雄と呼ばれた話 その2
戦争した国 レモニウム
自国 エルデバラン
登場人物
北の酒場の主人 モゲ
新人冒険者商人の ゴトー
勇者ミグロ
大魔術師 エフカ
母スペイド
索敵 ドルマ
翌日から南の森にゴブリンの角拾いの旅だ
先頭は勇者 ミグロ 次にゴトー 大魔術師エフカ 今回は輸送用の貨物専用馬車をつないでいる
馬の休憩がてら1時間おきに停車して南の森を目指す
まだお昼でさして進んでいないがそれでも町はずれだ
お昼は寸胴にはいっているスープと主食の芋だ
町はずれの柵はまだ見えていない
アルボレナは4万人の町で土地は30km四方ほどある
ゴブリンは南の山近くに住むため馬車で4日ほどかかる
お昼を簡単に済ませて午後の移動だ
馬も人間が歩くよりは早い程度でさして進んでいない
町はずれまで1日 今日の宿泊所が見えてきた
まだ日は高いが町と外の境界なのでここで宿泊だ
この厳重な柵の内側がアルボレナ、外は柵外でアルボレナの範囲ではない
西冒険者組合から南下して一面の農地をただ馬車を運転していたが、初仕事のうれしさ半面少し疲れた
町の外にも農地はあり柵で囲まれている
農地用は動物が入ってこないように簡素な柵がある
厳重な柵の拡張工事中の箇所もある
もともとアルボレナはもっと大きかったが、父の亡くなった戦争でレモニウムから奪い返した土地だ
隣国のレモニウムもこれから向かう豊かな森を手に入れようとエルデバランと戦争を起こした
しかしこれ以上の領土の減少はエルデバランにとって許容できないもので戦いが始まった
一進一退が続いたがエルデバラン本国からの応援が強力でエルデバランに敗れ逆に領土を失った
南西にあるレモニウムはエルデバランと領土を争っており拡大政策を続けている
また戦争になりそうな不穏な空気もあるが、周辺国家も拡大政策に異を唱えて反撃しておりレオニウムの進撃は今ところ止まっている
ゴトーは聞かれたので冒険者になった理由を話す
魔法を使えるものが半数、剣技を使えるものがさらにその半数 回復魔術が使えるものが半数
索敵が使えるとなると更に半数
全国民で貴重なエリートではあるのに兵士にならないものはなぜか?という問いだった
勇者のミグロに領土は拡大できたが父が亡くなってしまったこと
ゴトーは余り遊んでもらえず家にも帰ってこず寂しい思いをしたこと
エリートでも落ちこぼれなこと
早く母を楽にさせたい、まだいないが恋人も作りたいし子供も欲しい
ゴトーは一人だけなので兄弟姉妹も欲しい
自由な冒険者になったほうが自由に時間を使えるからと答えた
ミグロ
君もか 僕は魔術師の母を失い、エフカも父親を失った
エフカ
僕らはまだ独り立ちしていたから金銭的には余裕があったが、、、苦しかったんだろゴトー
ゴトー
はい 馬車があったのですが学費を払うため売り払い、母は朝 昼、夜の酒場でずっと働いています
今は昼と夜にしてもらいました
この5年間、、早く卒業することだけを目標にしてきて成績は最低ラインです
ミグロ
それは大変だったな 勝ったといっても南の戦いでこの南のアルボレナからは随分人が亡くなった
エフカ
学友はどうした やはり兵士が多いか?
ゴトー
はい ほぼ兵士で僕ぐらいなものですよ冒険者になったのは
結局学友のエルスも兵士になりましたし
ミグロ
つまらないことを聞いた
なんと覚えるのに時間のかかる魔法職を1年早く習得し、卒業したエリートの魔法剣士がすぐに不安定な冒険者になることが珍しい
俺のように魔術が使えないもの エフカのように剣術がさっぱりなもの 回復しか使えないピロリ、索敵は君より成績の悪い魔法剣士のドルマのパーティーが私のパーティーの基本だ
エフカ
そんな落ちこぼれのおれらからみると、何でもできる魔法剣士はどこでも引く手あまただろうにと話したんだ
ゴトー
何でもできるが特化した人には勝てませんよ
しかも成績は最低です
得意なのは商人ですよ エリートの落ちこぼれですよ
ミグロ
俺たちも苦労してここまで来たが、10才から。。。。大変だったな
エフカ
なあゴトー 不安定だが自由だ
魔法剣士で冒険者は少ない そりゃ安定して給金もらえるほうがいいからな
魔法剣士のドルマは気楽な冒険者がいいという変わり者だ
ゴトー 明日からよろしく
この後宿泊所にはいり、食事と微量のお酒を飲んで寝た
3日馬車に揺られゴブリンの森に向かう
ゴトーは夜間の警戒で夜に起きて朝寝る生活になる
柵外なので馬車は2台に変更しミグロさんの馬車に輸送専用の馬車を追加した
エフカさんの馬車で揺られて寝て移動だ
ゴトーは南4日目まで続けた
5日目になると先に到着していたパーティーと合流しゴトーは昼夜逆転生活から通常の生活に戻すため昼も夜も寝て夜間索敵はほかパーティー索敵に任せる
6日目の朝勇者ミグロから 「そろそろゴブリンの森だ」と聞きゴトーの初仕事だ
ミグロはゴブリン角をひろう
3人パーティーでの旅、ほかのptも到着して全体で19人ほどになった
昼の収集時は警戒の索敵と夜間索敵以外はゴブリンの角を収集している
本格的な初冒険の始まりだ
輸送用の馬車は外してそこらに落ちている角をひろう
木は着火しにくく最初にゴブリンの角に火をつけてから薪に移す
そのためにゴブリンは全滅させない
半日拾い続けゴトーは警戒に当たる
昼食時は警戒用索敵が順で休む
ゴブリンは森から出てこない
午後からもひたすら角拾いだ
長月は葉月の角集めの季節だ
戦いではなく拾うだけ
Fランクのミグロ Eランクのエフカの周りを警戒するゴトー
ゴブリンの恋の季節で角が沢山落ちている
ゴブリン同士の男の決闘の証で角が折れたゴブリンの負けで決着がつく
人間はそれを利用する
折れた角はまた1年かけて復活する
ミグロとエフカは3日の滞在中収集場所を変えつつひたすら角拾いをしている
たまにゴブリンが森から出てくるがゴトーには近づかない
たとえ3匹でも人間の魔法剣士、ゴブリンの大集団でもない限り襲われることもない
ゴトーは探知の利く森から100m付近を巡回する
そうこうして4日目十分に角をひろい終えた
ミグロの貨物の馬車とエフカの貨物馬車はすべて角で埋まった
ミグロから
「これだけ拾ったら3カ月は暮らせる 帰ろう」と呼びかけられエフカも同意する
ゴトーの初仕事はあとは帰ることだ
夜間索敵に戻り3日かけて柵内に帰ってきた
国境警備の衛視 ウズリーに馬車ごと渡す
領内は本物の商人が運んでくれるがどうせ冒険者組合まで戻る
ミグロ、エフカはここの柵のすぐ近くに住んでいるが一度冒険者組合に戻り馬車を持っていく
ゴトーはそのまま馬車で一緒に向かう
ゴブリンの角はかなり軽く重いパーティー用食料も少なくなったので馬も速度が上がっている
冒険者組合についたのはお昼と夕方の間
クエスト終了の報告はミグロがしてくれる
続いてエフカ、ゴトーの順にクエスト記録をしていく
これで初仕事終了だ
ゴトーは馬車をレンタルしてゴブリンの角を自宅まで運んで戻る
冒険者になったので馬車を借りるにも銀貨は必要だ
なるべく早く戻したい
3時間、、、もう夕方過ぎだが輸送馬車1台と輸送人付き馬車の2台を借りゴトーの自宅に運び込む
輸送馬車の借用費を冒険者組合に払い組合横の酒場に戻ってきた
エフカさんのおごりで酒場で飲む
仕事終わりの一杯はおいしいといわれるが、ゴトーはよくわからない
武器で威嚇しつつ、時には魔法で追い払い安全に採取できるように心がけた
エフカからいつもは5人で行くが3人分は働いたな 索敵は見事だったと褒められた
人間が森に近づくと偵察隊のゴブリンが出てくる
ゴトーは教えられた通り いったん引いてやり過ごしゴブリンが撤退したらまた近づく
森から出てこようとすると、武器で威嚇する
実際に出てきたときは氷魔法を使う
怪我をすると怒って出てくるので怒りださないように足元に集中して地面に命中させる
ゴブリンたちがおよそ40mまで近づいたら本気で火魔法で攻撃するが今回は出番がなかった
落ちこぼれだがこれでも魔法剣士、ゴブリンたちでは超えられない壁だ
もしゴブリンが撤退したらゴトーもいったん距離をあけ撤退
こういった順序でミグロとエフカはひたすら角収集のみに専念できた
エフカ
やっぱり魔法剣士は偉大だわ 一人で収集以外すべてできたんだから
ゴトー
教えてもらったとおりやっただけですよ
ミグロ
いつもは3人で交代しながらやるんだ 回復のピロリはずっと中で角拾いだがな
いいメンバーだ 俺が集めた中では今回が一番の収穫だ
ゴトー
それよりいいんですか 1/5じゃなくて1/3でそれも霜月売却ですよ
ミグロ
俺のパーティーのやり方だ
クエストごとに均等分割 商人に即時売却が基本だ
それよりゴトーは大丈夫か?2か月収入ないぞ
ゴトー
北の酒場で働きます これまでも学校が休みの時には働いてましたし、母と違って朝と昼だけです
これまでの週2が毎日になるだけですよ、問題ありません
そうすれば母は夜だけになりますし働けば食えますから。。。大丈夫ですよ
エフカ
そうか俺らはオーガ退治に行くんだ どうかなと思ったが
母さんの負担を減らすことが優先なんだな
ゴトー
はい 最優先です
エフカ
この辺でお開きにするか じゃーなゴトーまた頼むわ
そういってミグロとエフカと別れる
馬車を使わず80分歩いて自宅に到着すると母のスペイドが帰ってきた
ゴトー
母さん おかえり 明日の朝から北の酒場は僕が行くからね 夜だけお願い
母スペイド
ありがとう 夕食をもらうわ
ゴトーの作った料理を食べる母をみて
ゴブリンの角でしばらく過ごせる
2か月働いたらかあさんは朝と昼はやめて夜だけにする
自分で稼げるようになったから少しは楽に過ごしてくれるように頼む
そうでないと実入りのいい冒険者になった意味がない
と思った
母のスペイドはゴトーは余計な心配をせず自分の仕事をしなさいと自分にも息子のゴトーにも厳しい
翌日 朝から出発して北の酒場に6:30につき朝の冒険者用の食事を作り始める
3人で手分けして寸胴14本作りつつ芋をふかしていく
寸胴は100kgが入るが、60kgしかいれない
寸胴は2つ積んでいき、余れば自宅に持ち帰る
長い旅なら80kgにして4本積み込むが通常は2本だ
8時ごろになると北行きの冒険者が集まってきて11本予約分がなくなり馬車に積まれていく
それが終わるころはだいたい9時頃
9時を過ぎると今度は朝の農作業者向けに芋と寸胴で煮てある野菜スープをセットで出す
およそ30分ほど忙しいがそれが過ぎれば今度は昼食の用意だ
豚をさばいて下味をつけて焼いたものを鍋にいれ煮込む
人気の トン汁を作っておく
今日の定食は豚のヒレカツ定食なので作っておく
お昼になると朝の冒険者と昼からの冒険者でごった返す
スピードが勝負の戦場は2時ごろまで続く
それを過ぎると夜の仕込みを2時間ほどして仕事終わりだ
6時前に出発しここまであまり休憩をとれていないがこれをずっとやってきた母
これに加え夜の仕事もこなして帰る、頭が上がらない
ここの北の酒場の主人 モゲに夜だけの仕事に控えてくれるよう頼んでおく
これを休みなく5年間毎日休みなくだ、少しでも楽にさせたい
モゲは朝と昼で十分といっているが母が少しでも家計の足しにしたいとずっと働き詰めだ
ゴトーは母が楽にならないと冒険者になった意味がない
母が出勤してきたので引き継いで帰る
自宅に帰ってゴトーは母向けの食事を作っておく
夕食は食べて帰ってもらうようにして少しでも楽をしてもらう
ゴトーは自分と母の朝食用の用意をして母の帰りを待つ
これを母が夜だけ出勤に折れるまで続ける
一度言い出したらなかなかうんとはいわないが、そのあたりもモゲに言ってある
16日たち神無月の13日
母がやっと折れて夜だけの出勤にしてくれた
毎日母を休ませる、そうじゃないとゴトーが冒険者として動けないと連日言って来たかいがあった
その代わり夜は23時の最後まで働くといったので21時で終わらんと心配で冒険に行けないといってみるが折れない
ゴトーが折れて朝6:00から21:00まで働き 23:00閉店をまって母と一緒に帰る
これを8日 21日まで続けたら、やっと母が折れた
16:00から21:00厳守で北の酒場で周知してもらった
やっとこれで冒険に行ける、お互いなかなか頑固だ
霜月に入りもくろみ通り32%ほど値上がりしてところでゴブリンの角を売却する
冒険者組合はこうした金銭分配の仕事もする
手数料は払うがこういった分配で揉めるパーティーもある
事前に決まっていたが何人か割に合わないからとで変更もない話ではない
そういった連絡と調整も組合の仕事で依頼クエストの調査ランクを決定、人員の配置、国への報告、税金の支払いと仕事は多い
今回のゴブリンの角の分配は1/3だが予定より32%多い
その確認の通信をミグロとエフカにそれぞれ確認する
了解が取れれば商人から売れた時に分配金が入る
今回の場合は不足していたのですぐに買取だった
即時入金、初給料 銀貨560枚
当座の生活費160枚を下ろし他は貯金と次のクエストの募集を見る
クエストボードにはやはりAランクはない
パーティーマッチングを依頼する
待合で待っているとすぐに連絡がある
通信結晶に出てみるとドルマから南の森の調査依頼がある
この間の角回収でよさそうだとの話をきいて誘ってみたとのこと
出発は霜月の20日
この冒険者組合に19日に集まるとの事なのですぐに了解する
南の森の調査依頼は収集系の先発調査だった
ドルマさんは収集系の仕事もしている
柵外の調査で次の柵内する場所の調査もやっていた
Aランクの仕事ではこういった誰かについていく仕事ぐらいしか仕事がない
少しでもクエストを受けてランクをCにあげないと自分だけで動けない
クエストボードにはCランク以上のものがほとんどで駆け出し冒険者が受けれるクエストはやはりない
領土の拡張で採集の仕事が増えているがそれも知識がAランクの仕事では受けれない
ドルマさんの仕事が終わり空きの日数で他のクエスト募集にも応募してみる
次はアロエ採取の仕事があり返答待ちだ
返答はあったがもうアロエ採集は終わりごろで今回は見送るとの事
なかなかAランクでは仕事はない
結局霜月の19まで実家近くの近隣農家の手伝いと、中央の冒険者組合の手伝いをして過ごした
ぼちぼち誤字修正をしていきます
評価ありがとうございます