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第0話 目覚めるソウルメイト
──早く起きなければ。
そんな思いが頭を支配して、目を覚ました。
ほの暗い部屋の中、そこには俺を含めて、五人の勇者がいた。
勇者と呼ばれてなんの疑問も持たなかった。
俺たちには《記憶》がなかった。
記憶がないから拠り所もなかった。
魔皇を倒せと言われた。
寄る辺のない俺らはそれに従うしかなかった。
「きみを、知ってる気がする」
そう、彼女は突然言った。
彼女は勇者の仲間のひとりだ。
「リア……だっけか」
俺は彼女の名前を言った。
「そう、そうだよ」
彼女は泣きそうになりながらうなずいた。
「ごめん、……分からない。何も覚えてないんだ」
「……そっか。ごめんね、わたしも……、わたしも、そんな気がしただけだから」
俺はそのとき、なぜか、理由もわからずに涙を流していた。




