番外 おまけ:ミカドにおっぱい揉ませてと土下座してみた
本編17話のIFストーリーです。
「……わかったよ、わかった。あれはうちの負けだよ」
ミカドはそう言って、困ったような表情を浮かべた。
そう、それは狩猟レースの終了後、中庭でミカドに出会ったときの話だ。
俺は上級クラスをまとめてくれるようミカドに依頼すべく中庭で彼女に話しかけたのだった。
――しかし、だ。
まずはワンクッションを置く必要があるのではないだろうか。
そうだ、そうに違いない!
いきなり「クラスを支配してくれ!」なんて言ったところで引かれてしまうのが関の山!
だからこれは必要なことなのだ。
そんな俺の思惑に気付かず、ミカドは言葉を続ける。
「――こっちの勝ちだなんてことは言えないよねー、そりゃさ。でも――」
彼女の言葉が途切れた瞬間、俺はすかさず言葉を差し込む!
「――おっぱい揉ませてくれ!」
ピキ、と音をたてて時間が止まった気がした。
ミカドは口を止めて、首を傾げる。
「……は?」
「おっぱいを、揉ませて、欲しいんだ」
俺はゆっくりと言い直した。
ミカドはなんと返していいのかわからないのか、パクパクと口を開けたり閉めたりして言い淀む。
みるみるうちに彼女の顔は赤くなっていった。
――隙有り!
俺はその隙を見逃さず、言葉を畳みかける。
「勘違いしないでくれ、これは決していやらしい気持ちじゃあない」
「……ふえ?」
「ミカドの剣術は凄い。剣術の優れた武人は男性に多いにも関わらず、ミカドは才能と努力で素晴らしい剣術を会得している。さすがだ。その腕前はもはや勇者という枠組みにすら収まらないだろう」
「いやまだうちは勇者ですらないんだけど……」
「――故に、だ! ミカドの剣術の秘密を突き止め、それを自分の物にしたくない男がいるだろうか! いやいない!」
「ええ……?」
「世の男性やノンなどの平らな女性にはなく、ミカドには存在する身体的特徴! それが――おっぱいなんだ!」
俺の言葉に、ミカドは困惑した表情を浮かべる。
「……ええっと、つまりうちの……その、お、おっぱい……に、剣術を上達する秘密が隠されてるってこと……?」
「そう! そのおっぱいこそが! ミカドの剣術の秘密!」
「……それはないと思うけど」
「いやそうだ! 俺にはわかる!」
俺はその場に膝を着き、頭を地面に付ける。
「頼む! ――そのおっぱいを一度揉ませてくれ!」
「えええー……」
ミカドはあからさまに嫌そうな声をあげた。
「……もしかしてロイさん、うちのことバカだと思ってない……?」
「そんなこと、あるものか!」
俺は彼女にすがりつく。
「俺はそう、ただ純粋な……純真な心で! ミカドのおっぱいを揉みたいと思っているんだ!」
「ちょっとロイさん、やめて! 声が大きい! わかった! わかったから離して!」
彼女のその体にしがみつくその手を離して、俺は再び立ち上がる。
「……わかってくれたか、俺の心が」
「ロイさんがすけべさんだってのはわかったよ……」
ミカドは「はぁ~……」と深いため息をついたあと、その視線を逸らした。
「……ロイさん、そんなに揉みたいの?」
「揉みたい」
即答する。
「……なんで?」
「なんでってそりゃあ男として当然揉みたい……じゃない、ミカドの剣術を理解する為に……」
「漏れてる漏れてる、本音が漏れてるよロイさん」
ミカドはまたしても呆れるようなため息をついて、目を伏せた。
「……しょうが、ないな……」
ミカドは胸の下で腕を組み、その大きな双丘を強調させる。
「……うちが負けたのは、事実、だし……」
耳まで真っ赤にして、ミカドはつぶやく。
「ロイさん、なら……ちょっとだけなら? ……まあ、触るぐらい、どってこと、ないよ」
やや声を震わせながら、ミカドはそんなことを言った。
「……マジか」
言ってみるもんだな……。
一周目でも魔界での地獄の期間も、女っ気などまったく無い日々であった。
そんな俺の前に、今触れてもいいおっぱいがある……!
俺はおそるおそる震える手を近付ける。
布越しにその手がミカドの胸に触れる――直前に、ミカドが声を漏らした。
「うっ……」
見ればミカドは顔を真っ赤に染めて、涙目になっていた。
俺は彼女の表情を伺いつつ、静かに尋ねる。
「……嫌か?」
「嫌、じゃないけど……でも……ちょっとだけ、怖い」
彼女の睫毛が震える。
「……実家じゃ、周りはみんな男衆ばっかで……負けるもんか、って頑張ってきたけど……やっぱりそういう目で見られてるのかな、って、思うと……」
彼女の言葉に急に冷静になる自分がいた。
――俺と違って、まだまだミカドは子供だ。
あまりこんな悪戯で困らせるもんじゃないな。
「――ミカド、すまん。冗談だ」
俺は彼女に謝る。
「てっきりもっと盛大に断られるかと思ったんだ」
「……ロイ、さん……」
……これはノンから聞いた話ではあるが、交渉する際のテクニックとして、わざと最初に相手が受け入れられないような無理難題をふっかけるというテクニックがあるらしい。
それを実践してみようと思ったのだが、ミカドは案外すんなりと受け入れてしまったのだった。
……やはり俺は、コミュニケーションが下手くそだな。
「……よし、それじゃあ本題に――」
「――うにぃっ!」
その瞬間、後ろから毛玉の声が聞こえた。
小さなボール状の物がぶつかった感触と共に、背中が押される。
それと共に手が前に出て――。
その感触はふんわりとしていた。
布越しでもわかる柔らかさ。
両手から溢れ出る豊満な感触。手に返ってくる低反発の弾力性!
ああこれはまるで――広大な星空のよう!
瞬間、ミカドの拳が動いた。
「――やっぱロイさんでも無理ぃっ!」
「ましゅまろっ!」
ミカドの繰り出したアッパーが俺の顎を砕き、そのまま地面に叩き付けられる。
「ああっ! つい手が勝手に! ……ロイさーん!!」
ミカドの声が響く中、揺さぶられた頭はゆっくりと意識を手放していった――。
* * *
「――さん、ロイさん!」
俺はその声に目を覚ます。
「……ミカド……? ここは……」
俺は中庭で目を覚ます。
……ええっと、何をしていたんだ、俺は。
「ろ、ろ、ロイさんったらこんなところで寝てたら風邪ひくよ!」
「む……そうだな。なぜ寝ていたのか、記憶が曖昧だが……」
「き、きっと訓練でもしてたんじゃないかな! あはは……」
ミカドはそう言って目をそらす。
俺はぼんやりとした頭を振って、記憶を手繰り寄せた。
「――そうだ、ミカドに話したいことがあったんだ。狩猟実習のときの約束の話だが……」
「あ、ああ! あれね! うんうん、何か言うことを聞くよ。でも――」
ミカドは人差し指を立てて、俺の前に突き立てた。
「――えっちなのはだめだからね?」
緊張するように言う彼女の言葉に、俺は笑う。
「俺をなんだと思ってるんだ」
「ロイさんだから、言ってるんだよ」
「……酷い話だ」
俺は笑って話を切り出す。
どうやら彼女は、俺の依頼を聞いてくれるようだった――。
続きが気になるといった感想ありがとうございます。
嬉しかったです。




