PUPILLA −プピッラ−
あたしの瞳ね
あんまりいろんなものが
見えないの
汚れた世界はね
とてもはっきりと
映りこんでくるのにね
砂や瓦礫に埋もれ
踏み付けられた真実たちを
探し出したくて
さ迷い続けるのに
肝心のこの瞳が
フィルターをかけたみたいに
それだけを
見つけられずに
心だけがざわざわと
ゆらゆらと
いつまでも落ち着かない
呼んでいる
きっと呼んでいるよ
はやく
見つけだしてあげないと
もろく粉々に崩れてしまうよ
あたしね
今から神様に向かって
わがままを言わせてください
あたしの
この見えない瞳
この瞳の代わりに
あたしの探し物を
共に
見つけだしてくれる人を
あたしに与えてください
この旅は
決して楽しいだけじゃない
足元はいつも不安定で
いつまでも
砂を撒き散らす風は
容赦なく焼け付いた肌を
たたきつけ傷めてしまう
―何処へ?―
などという答えも曖昧で
この先に何があるのか
まるで想像さえ出来ない
だけど
神様
あたしに光を下さい
あたしの
見えない瞳の代わりに
あたしの手をとり
あたしの探し物を
共に
見つけだしてくれる人を
その人が
場所を指し示してくれさえすれば
あたしは
あたしのこの手で
砂を掘り瓦礫を砕き
あたしの胸に抱きあげるから
瞳の代わりに
なってくれるだけでいい
その人の身体にはひとつの傷も
絶対につけさせやしないから
せめてもの報いに
あたしがすべての嵐や闇から
その人をずっと守り続けるから
だからね
神様
わがままを言わせてください
あたしに光を下さい
あたしの
見えない瞳の代わりに
あたしの手をとり
あたしの探し物を
共に
見つけだしてくれる人を