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遙かな男の娘 ~目覚めた僕は此処でも男の娘でした~  作者: 無職の狸
第一夜 起きたら不思議な世界だった
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《01-8》

1話 起きたら不思議な世界だった

最後の更新となります。

††


 ネクスは僕の云ってる事を全て否定します。相手は100年後の未来の量子コンピュータを搭載した頭脳ですから、そりゃ僕より頭がいいと思います。でも母さん、ネクスは僕に冷たくありませんか。ちょっと辛いです。

 


《量子電脳ルシファーは、赤道上空の高度35,786キロメートルを周回している静止衛星に搭載されています》


 え、静止衛星?唐突に何のことですか、静止衛星とか!


《ルシファーを搭載した静止衛星の位置、及び観測される太陽系各惑星の位置情報に寄り、2,100年代とは多少誤差が生じていますが、此処は"地球"である確率は99.99%です。》


 うっそ!なにそれ?


 まさか100年後に作られる量子電脳ってのは、冗談も言える様になるのかな~?


《否定、そこまで進化しておりません。》


 あそですか。

 

 

じゃあほんとにネクスの本体は静止衛星に搭載されてて、そんでもって此処は地球なんだ。嘘だろ~100年後の地球には精霊族なんているの?それとも此処って僕の知らない、まだ人類が脚を踏み入れたことのない秘境なの?


《不明、地磁気及び地形に、2100年代の情報と差異があります。現在地点の正確な位置が特定できません。》


 え?それってどういうこと。


《低確率の推測として、極移動が起きた可能性と、地殻移動による各大陸の移動と推測されます。》


 ・・・・・・・はぁ?


 極移動って、あれだよね、ポールシフトとか云う大異変みたいなやつだよね。


《警告、先ほどの緊急事態での活動及び肉体活性化によりマスターのエネルギーが過度に消費されているため、活動限界が近いようです。早急なエネルギー補給を推奨します》


 エネルギー補給?


 さっきもそんな事言ってたね。なんのことだかと思った途端、お腹が猛烈な勢いで音を発した。


ぐきゅるるるるぅ~~~。


 うわぁ、エネルギーって食べ物の事かぁ!


「腹が減っておるのか?」


 メトゥ・シと名乗る小鳥が、不思議そうに俺を見つめていた。









 なんとか飢餓状態から救われた。


 この話をする白い鳥──メトゥ・シが白トラにむかって


「ビャクよ、この者が腹を空かせておるようだ。適当に持ってきてやってくれ。」


 というと


「にゃあ!」


 お、おうっ、なんか可愛い鳴き声だな。


 やっぱトラってネコの仲間だから、鳴き声も猫なのかな?


 白トラは?き消えるようにその場から姿を消すと、少ししてまた戻ってきた。でも手ぶらだよ。そりゃそうだよね、前足で食物持って走ってきたりしたら、大笑いだ。


 でも僕は直ぐに目を皿のようにして固まった。


 白トラが何もない場所から、沢山の果物や野菜を取り出したんだ。トウモロコシやらじゃがいもやら、それにメロンにスイカに、見たことがある物と、見たこともない物が沢山。


「山の幸じゃ、食べるがよい。」


 メトゥ・シに食べる様に薦められたのは良いけど、みんな生なんだよな。お腹壊しそうなんだけど。とりあえずメロンは行けるかな。


 両手に掴んでぐっと指先に力を入れてみたら、簡単に割れた。メロンって割りと柔らかいんだ。


 中から果汁が溢れだしてくるので、僕は口を突っ込んでかぶりついた。


 う~~~まいっ!


 なにこれ、凄く水々しくてこんなメロン初めてだ。


 僕は夢中で食べた。スイカもあるしブドウもあるし、ともかく生で行けそうなものを全て手を付けてみたけど、なにこれ、すんごく美味しい。


「肉は喰わぬのか。」


 小鳥が尋ねてくる。


「お肉って?」


 聞き返すと白トラが前足で何かを転がした。


 ………兎、かな?頭に角があって、耳が拡がっててうちわ見たいだけど、兎に近いかも。首の辺りが血塗れだ。うえぇぇぇぇぇ。


「食べなさい。」


「えーーっ、だってこれ兎、いや、てか、生だし。」


 僕は思わず本音が出てしまった。そりゃご馳走されて我儘いっちゃいけないとは思うけど、やっぱ兎を生で食べるなんて僕には無理だ。


「生は無理か……成る程、ではこれならどうだ。」


 いうなり兎が燃え上がった。


「ええええ!!」


 僕が驚いて後退るも、小鳥と白トラは不思議そうに見ている。


「な、なんでいきなり燃えたの?」


 僕が尋ねると、ますます怪訝な顔(多分)をする2人じゃなくて2匹。まるで何を云ってるんだ、おまえ、と言いたそうだ。


《メトゥ・シより未確認のエネルギー照射を確認。》


 エネルギー照射?


《YES、大気中に漂う未知の粒子を収束させ、エネルギーに変換して兎と推測される個体に照射。個体の外皮及び内部を高熱で焼却処理した模様。そろそろ食べごろです。》


 いや最後のいらないから。


「そろそろか、火は通ったはずだ。」


 同じこと言ってるし!


 火が不意に消えると、白トラがずいっと押し出してきた。それってつまり食べろってこと?


「た、食べろって?」


 兎の丸焼きなんて、えーーーっ!


《毒素などの検出は計測されません、焼け具合も頃合い、食べごろです。》


 いやだからあのね?


「山の恵みだ。弱者は強者の胃に入り、力となってこそ生きた目的があったというものだ。食べるが良い。」


 なんか凄い迫ってくる。


《食べごろです》


 ネクス!お前もなー!!

 

 なんで精霊とトラとM,M.I.《マンマシンインターフェース》に薦められないと行けないのさ。


 もう、食べるよ、食べればいいんだろ!


 僕はヤケになって丸焼けになった兎に齧りついた。こんな兎、第一味付けなんて何もしてないじゃない、せめて塩か胡椒をくれよっ!醤油があればなおさ・い・こ………美味しいぃ!!!


 なにこの野趣溢れる風味というのかな、すっごい野性的で適度に脂がのって、お肉が淡白だけど柔らかくて、鶏肉に似てるかもしれない。すっごく美味しい。


 夢中になって食べ始めた僕を見て、小鳥と白トラが顔を見合わせて笑っているようだった。


††

次回 『2話 冒険者達と僕』は 7/9 に七回の更新を予定しています


懲りない作者のモチベーションを上げるためにも、応援してやって下さい。

m(_ _)m

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