《08-3》
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ネクス、ちょっと見てくれる?
《名前: レックス・バナルカンド
種族: 倭人 年齢: 25 性別: 男
職業: 特級魔闘拳操士 LV.91
身長: 179センチ 体重: 85キロ
生命力: 12,352 魔力: 1,919》
おお、あのイケメン、ガリオンと同じくらいだ。たしかカイゼルがLV.82とか誰かが言ってたから、イケメンのが強いんだね。なるほど。それに体力がすごいな、魔力がヘタレだけど。魔闘拳操士ってそういうものなのかな。
RPGゲームとかでいう、武闘家みたいなもんかな。ついでにあの背の高いリーダーっぽいやつ。
《名前: サタラ・バナルカンド
種族: 倭人 年齢: 32 性別: 男
職業: 特級魔刀剣操士 LV.96
身長: 199センチ 体重: 105キロ
生命力: 11,119 魔力: 6,211》
この人、ガリオンよりレベルが若干上なんだ。で、名前が同じってことは二人は兄弟かな。
「テメェらはすっこんでろ、で、そこの可愛い嬢ちゃん。」
「ん?」
イケメンの弟が前に出てきて、ちょっと唇を歪ませてる。男の子ですがなにか?
「驚かせて悪かったな、大丈夫だったか?」
「………うん。」
僕を気遣ってるのかな。なんか優しい人だな。
「俺たちは轟焔龍狩猟団っていってな、この街じゃわりと知れてる狩猟団なんだ。」
笑ってる?苦笑してる?なんで?
「おめえ、アリサの連れって話しだよな?」
「……」
ここは頷くべきかどうか、ちょっと悩む。下手に頷いてあとでアリサに迷惑かかってもなぁ。
「嬢ちゃんがアリサと一緒にいたのは、皆知ってるんだよ。誤魔化すな。」
なんか急に声を荒げた。ちょっとびっくりした。
「いいか、アリサの烈風狩猟団と轟焔龍狩猟団はな、ライバルみたいな関係なんだ。団員が烈風狩猟団に伸されたなんていう不始末が広まるとよ、狩猟団の信用にまで関わるっていうかな、まあそういうわけでよ。嬢ちゃん、ホントのところ聞かせてくれねぇか。なんならアリサを呼んできてくれねぇか」
「面倒くさい。」
「おいおいおいっ、そりゃねぇだろ。」
「面倒くさい、だからお前、それに兄貴のほう、お前達が一番強い。」
「え……」
「だから僕と戦え。」
イケメンが驚いたように背後のサタラへ顔をむけるが、サタラもまた驚き、顔を降っている。
いきなり戦えって言われたら、誰だって驚くよね。しかもこんな小さな少女にだから、当たり前か。
「おめぇ、なんで俺らが兄弟だって知ってる。」
あ、そっち?
「関係ない。お前たち、一番強い。ちゃっちゃと終わらせる、僕、御飯食べる。」
「はぁぁぁ、おまえ、何言ってる?おま、意味解って言ってるんだろうな。ガキぃ」
「ガキ、違う、僕、レイ」
「がぁぁぁ、うるせぇんだよぉ、小さな女の子だからって、こっちが下手にでてれば調子こいてんじゃねぇぞっだらぁ!」
小さなは余計だ。
なんかレックスががなりたてて、その声に立ち止まり、ぐるりと見物人の輪ができてしまった。どうしよう……早く終わらせてさっさと戻ろうと思ってるのに。
「早く来い。」
「くそがきがあぁぁぁっ!!」
なんかレックスが喚いた。
もしかしてかなりキレやすいタイプ?
僕がメトゥ・シから教わったのは、殺すならちゃんと食べてやれ。意味なく弱い相手を殺すな。食べる必要も無いのに自分から襲うな。
この3つ。
ヴェンテゴの件で怒られたのは、食べるつもりもないのに、僕が先に手を出したから。アリサ達を助けるためだけど、そんなのは理由にならない。
アリサ達はヴェンテゴに喧嘩を売ったんだ。だから喰われても仕方がない。強きものが生き残る、それが自然なのだから。その自然の闘いに、一方が殺し合いに負けそうだからと、全く関係ない奴が横から邪魔をするのは摂理に反している。
でも今回は違う。
安心しろ、僕はキミたちを食べるつもりはない。美味しい料理が待っているんだから。
僕が入り口から姿を現すと、アリサがきょとんとした顔をしている。いけね、トイレって云ってたんだ。
「あんた何処云ってたの?」
「あの、道、間違えた」
「道って、どうやったら店のトイレにいって、外から帰ってこれるのさ。」
「えっと~~」
「も~いいから残ってるの食べちゃいなさいよ。」
よかった余り怒ってないや。
僕は急いで椅子に座って、テーブルに残っていた料理に手をつけ始める。ちょっと冷めちゃったな、それに腹ごなしの運動とか思ってたんだけど、あまり運動にならなかった。
レックスってのは格闘が主体らしいみたいで、武器を使わなかった。多分それでも勝てると思ったんだろね。少なくともいい動きはしてたよ。
ビャクほどじゃないけど、それなりに早かったし、もうちょっと早ければ、もう少しいい感じで遊べたかな。
結局当てることもできずに、僕が隙を見て腹にパンチ入れたら、そのまま沈んじゃった。そこまで強くしたわけじゃないけど、地べたに落ちてなんか口から液体を吐いて痙攣してた。
お兄さんのサタラって人は刀剣躁士で、日本等みたいな片刃でソリのある剣を使ってきた。魔力を注ぎこんだら凄いのかもしれないけど、何故かそれをしなかった。僕が刀を軽く交わしていると、自分から刀を引いちゃった。
『貴様の力量を見誤っていたようだ。綺麗なバラには棘があるとはいうが、貴様の棘は毒すら持ってそうだ。』
なにそれ、僕は毒なんて持ってないぞ。
《物の例えです》
そなの?
『ここは引かせてもらう。だが次は……』
なんか奥歯に物が挟まったような言い方だな。次はどうするのかな?
なんて言って子分たち引き連れて帰っていった。なんだったのかな。
狩猟団にも色々有るんだなぁ。まあいいや、今はご飯ご飯。
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第一部終了まで残り2回。
作者のテンションアップのためにも、どうぞよろしくご声援のほどお願い致します。
m(_ _)m