《01-4》
100年後、ナノマシンは実用化されていたようです、一話の4話目
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母さん、僕は頭がおかしくなってきたようです。きっとこれは夢なんだと、そう思いたいです。僕の頭のなかに話しかける、ネクスというやつが居ます。正直、怖いです、自分が狂ったんじゃないかと……
ネクスと名乗る何者かは、僕に組み込まれたっていってる。なんで僕に?量子中央電脳ってなにそれ?誰がいつの間にそんなもん僕に仕込んだのよ。
《ご両親の希望により、西暦2136年初頭、マスターの"突発性DNA変異症候群"の治癒の為に、ナノマシン10億部品群と共にユニットのマンマシンインターフェースが組み込まれました。》
は?
ナノマシン10億部品群ってなにそれ、えっと、病気の治療?ああ、そうか僕はそうだ、病気で寝込んでいたんだ。なんかDNAが変異して身体が動かなくなるとかどうとかで。そうだそうだ、完全に思い出した。
そういえば、僕動いてる。さっき奔ってたし、うん、僕動いてる。ほら、手も動かせるし声も出せるし、治ったんだ、僕の病気は治ったんだ。
母さん、僕、動ける、動けるよっ。手も、足も、母さん、ありがとう。
《YES、マスターの治療は完了致しました。》
「ありがとう父さん母さん、ありがとうネクス、あは、あはははははは。」
僕は涙を流していた。嬉し涙だ、だってもう諦めてたんだ。僕はもう死ぬだけだと思ってたんだ。でも、だけど、こうやって手足を動かせるんだ。あははは!
あ……
そうだ、僕はそのあとコールドスリープとかで、病気が治るだろう未来に全てを託したんだ。で、2136年ってなにそれ!
120年後っ!?
え、え、僕100年以上も眠ってたの?
それじゃそれじゃお父さんもお母さんも……
《残念ながらご両親は最後まで希望を捨てず、お亡くなりになりました。》
嘘だろ……いや、100年も経ってしまったんだ……
《医療チームはレイ・キサラギのご両親の遺言に則り、マスターの身体を冷凍睡眠より目覚めさせて蘇生し、ナノマシンによる治療を行いました。10億部品群をゆっくりと体内に行き渡らせたのち、安定化の為に治療ポッドにて、再度睡眠治療が行われていました。》
治療ポッドって、ああ、さっきの水槽みたいな奴かな。じゃぁあの洞窟って、もしかして病院?なんで病院がスライムがうようよいるダンジョンみたいになってたの?わけわかんないよ。
100年後……そっか、お父さん、お母さん、ありがとう、僕は生きてます。100年も経っちゃったけど、でも僕は生きてます。ありがとう、ほんとにありがとう。
あとでお墓参り行くからね。
ところでネクス、キミは電脳だって言ってたけど、コンピュータみたいなものなの?
《私はネクス。自己進化型量子電脳ルシファーのユニットの一つであり、マスターのナノマシンを管理するM,M.I.《マンマシンインターフェース》です》
あははは、すっげ、なんかそれだけ聞くと、僕って電脳のM,M.I.《マンマシンインターフェース》を搭載しちゃってるってことかな。それってさ、それって………僕は人間なのかな?
なんとなく以前に見た漫画を思い出したよ。全身義体のかっこいい女性が大暴れする奴。好きだったなぁ。
《2100年代に於いて、体内にナノマシンを搭載する事例は一般的であります。その例からもマスターは人間の範疇に分類されます。》
そ、そうなんだ。2100年代の人達って皆M,M.I.《マンマシンインターフェース》やナノマシンとか入れてたのか。
《医療用として、極小単位の部品群の常用は、至極一般的なものです。》
凄いな100年後ってそんな時代なんだ。でもなんかその、言い方が引っかかるんだけどな。
極小単位って、どのくらい?
《通常、癌治療用カプセル薬タイプが、1錠1万部品群、30錠が適量となっております。》
おい、桁がずいぶん違わないか?
《マスターの場合、多量の投与が必要でした。そのため最適化に時間がかかっています。》
まじかよ……
てか~、さっきから僕の事マスターって言ってるけど?
《ネクスはレイ・キサラギをサポートするためのインターフェースです。M.M.I.の導入による中央量子電脳ルシファーとのリンク事例は実験的な意味合いも有りました。マスターの事例は世界初の試みであり、唯一の成功事例です。》
まもそれ……僕って実験体だったの?それにもしかして、キミって僕の専用なの?
《YES、マスター》
うわ、なんか良いな。実験体ってのはちょっと気になるけど、それよりも専用の家来が付いたみたい。いや頭の中だから、どっちかというとヘルプかな。
ネクス、今度もっとゆっくり色々聞きたいところかな。僕が眠りについた後、どうなったのか聞かせてほしい。キミの時代の事も、色々教えておくれ。
でも今はもう色々ありすぎて、お腹いっぱいだよ。なんか疲れてきてるし……。
《警告:マスターの現在の状態は身体修復のため、エネルギーを多量に使用しました。その為、エネルギーが枯渇状態に近づいています。早急なエネルギー補給が望まれます。》
え、修復?エネルギー?
なんかネクスが云ってるけど、ちょっと目眩がしちゃって、小川に手を付いた。ビシャっと水が跳ね上がり、顔に掛かる。気持ちいいな。でもそこで僕は初めて自分を見て、固まった。
「だれ?」
そこには可愛らしい顔をした女の子が居た。ボサボサの頭だけど、顔はすごく愛くるしい。ちょっと好みかも。
慌てて僕は振り向いた。
でも辺りには人は居ない。僕だけだ。
え?
もう一度水面を見ると、やはり可愛らしい少女がいる。年の頃なら12-14歳くらいだろうか。僕と同じ年位かな。でも周りに人はいないよ?もしかして幽霊さん?
そんな馬鹿なこと有るわけ無い。僕は幽霊否定派なんだ。
幽霊じゃないとすれば、答えはひとつしかない。震える手で自分の顔を触る。水面の少女の頬にも手が触れている。
うん、間違いない、この少女は僕だ。この顔は僕の顔だ、しばらく見てなかったけど間違いない。うん、面影というより完全に僕だ。なんだけど、どっか違う。
寝てる間に整形手術でもされた?なんか面影はあるけど、やっぱ微妙に違う。
《マスターの容貌については、ご両親、特にお母上からのご希望があり、改良いたしました》
そっか母さんの希望か。
母さんってばいつも云ってたもんね、女の子が良かったって、だから僕を女の子にしたがってたから、それじゃ………
おい。
《2100年代に於いては、ナノマシンによる美容整形は極一般的な事例です。2ヶ月60錠でお手軽に可能です。》
かぁぁさぁぁぁぁん!!!!!!
ほんとあのお母さんはもう、なんてことを………
しかし60錠って、まるで飲み薬感覚だな。1錠1万部品群ってことは、60万部品群か。僕は10億も入ってるからその程度簡単に………
《性転換なども可能です。部品群は増えますが。》
いやあぁぁぁぁぁっ
僕は嫌な予感に背筋を冷たいものが奔った。
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