ありふれた未来の物語の終焉
地獄があった
誰もが平等に息絶えていた
そんな世界で私たちは生まれた
私たちは人間ではないものだから
私は時々そう卑屈になったり
生まれた意味を考えてしまうような
…そんな少女だった
その分彼女は楽観的だった
生きているだけで喜びを感じているのかもしれない
人間がいなくなって、草木が生い茂ったかつての都市に足を踏み入れて
二人で散歩をするのが日課だ
私たちの役割でもあるこの行為は、まだ生きている人間を捜し保護するのが目的だ
「今日もいないね」
「いつかきっと会えるわ」
「いつ」
「未来に」
だいたいいつだってそんな会話を私たちは繰り返している
崩れたビル
むき出しの鉄筋
ひび割れたアスファルト
涼しげな風景は
あまりにも生気とかけ離れている
帰り際にいつもの公園の廃墟で一休みする
錆びたブランコ
錆びた滑り台
朽ちたベンチ
茶色がかったその風景は
日に日に色あせていった
「ねぇ、もう私たちだけなのかな」
「分からない…けど二人はいるでしょ」
「二"人"?」
「深く考えない」
ベンチに座っていた私は
彼女の胸に迎え入れられる
息苦しいけど
どこか幸せな時間だ
「死ぬときは一緒に死にたいね」
彼女はいつも赤く染まった空を見てそういう、悲観的な言葉を吐く
私は頭を上げて彼女の顔を見上げる
「多分、同じ時に寿命が来るんじゃないかな」
憶測でそれは悲しい希望だった
夕日を背負って二人は帰る
二人だけの寝床へ