片道書簡(2)
『前略。
前の手紙から間が空いてしまいましたが、いかがお過ごしでしょうか?
間が空いてしまったのは、選択科目の予習復習で忙しかったのと、施設の配置がよくわからなくて無駄にうろうろすることが多くて、疲れてしまっていたからです。おかげでようやく必要な場所には迷わずに辿り着けるようになりました。
ところで、いろいろあってちびちゃんを呪符に封じる事にしました。何となく背中がもの寂しいですが、移動は楽になりました。もっとも、一部の上級生には残念がられるので、外に出していることが多いですが。
上級生、と言えば、先日初めて王族の方を目にしました。どうやら授業をさぼっていたようで、先生に見つかって、叱られていました。学院の先生は、王族の方を相手にしても、遠慮しないんですね。
……』
『前略。
いろいろあって、上級生で手の空いている人に、休み時間や自由時間にちびちゃんの飛行訓練を手伝ってもらうことになりました。とりあえずの目標は、
他の人に向かって飛ぶ
です。
今のところ、一番慣れているはずのフェイ先生のところへさえ、飛んで行こうとしません。やっぱり、甘やかしすぎたのかなぁ。
……』
『前略。
いろいろ試行錯誤の結果、やっとちびちゃんが私以外の人のところへ行くことができました!
飛んでいく、ではなくて、渋々足を運ぶ、というところが少し残念ですが。
次はなんとか『飛んでいく』を目指したいです。できれば呪符から出てきょろきょろしないで。
短いですがご報告まで。』
『前略。
間もなく夏休み、ということでなんとなく学院全体が浮足立っています。
休み明けにはテストがあるというのに。
科目をたくさん取ったので、今からテストのことを考えると、気が重いです。
特に、選択科目が!
ちびちゃんの飛行訓練につきあっていただいてる先輩たちが、課題とか手伝ってくれるんですが、どうもみなさんが『常識』だと思われていることで私が知らないことがたくさんあるみたいで。
ところで、夏休みはどこで過ごしたらいいのでしょう?
こちらに残ってお母さんのように学費稼ぎに励むべきでしょうか?
それとも、そちらに戻ってちびちゃんの飛行訓練を続けた方がいいでしょうか?
そちらへ帰るとしたら、どのルートで帰ればいい?
返事、待ってます。』




