表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/21

1-3 「受身」

 そしてそれは、いまやあと3時間。お昼休憩が終わって、残るライティングの試験が終われば、もはや青春は走り出す。さすがに零がコテ入れし、屋上での幼馴染3人のランチをセッティングするに至った。


「零君、遅いねぇ」

「う・・・・・・うん・・・」

「もう時間ないし、食べちゃお。私最後に単語確認したいし」

「う・・・・・・うん・・・」


パンを買いに行ったまま帰ってこない零に痺れをきらし、歩は自前のサンドイッチを食べ始める。


「食べないの?しょうがないよ、零君遅すぎ」

「あ・・・・・・あの!」


かますんだ、かます、かます、かます、かますぞ。ところでかますってどんな言葉?と全然関係ないことが頭に反芻しながらも、立也は踏み出した。


「ど、どしたの?」

「あの・・・・・・えっと!きょ、今日テストの後、なん、で、す、が」


ひょっとして初めて見るかもしれない、意気込んだ立也に歩はたじろぎ、じっと立也を見ているしか出来ない。


「え、あ・・・その、僕と、あの、その、え、えええ、えい」

「も、もちろん!あったり前じゃん」

「・・・・・・えっ?」


まだ何も言っても、かましてもいない気がするのだけど、と困惑する立也に歩は続ける。


「だから、テスト終わったら遊ぼって話、高校初めてのフリーダムですよぉ!幼馴染3人で盛り上がるなんて、当たり前でしょ、っていうコト・・・・でしょ?」


「・・・え、ああ・・・・・・いや、あの」

「茜ちゃんたちのお誘いを蹴ってまでなんだから、ありがたく思うこと!以上」

「・・・・・・う・・・・・・あ・・・・・・」


一緒に過ごせるならまだましかも、誘ってそれならやっぱり佐藤さん達と遊ぶってなったら嫌だし・・・・・・


「そ、それで結局言い出せず?」

「・・・・・・は、はい・・・・・・」


本当に珍しいことにうなだれてしまった零にひたすら言い訳をする立也。


「あ、あの、でも、その、今回は行動したことに、あの、チケットを買った、ってところに意義があったってことで、その、売り場の人に話しかけられたってことが既に僕からすれば大進歩だし」

「・・・・・・立也。本当にそれでいいのか?」

「・・・・・・しかたないよ・・・そういう性格だし・・・頑張ったよ・・・」


性格のことなど、「どうせ」風のことを言い出した立也の意固地さを知っている零にはもうどうにもできなかった。大地立也の冒険は終わった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ